企業の経営者などビジネス・リーダーを育成する修士プログラムで得られる学位,またはその修了者。経営学修士(アメリカ)。MBAには経営者対象のEMBA(Executive MBA)等もある。経営管理はもともとヨーロッパでは陸軍士官学校等で学ばれ,19世紀にフランスの高等商業学校やドイツの商科大学,東欧では工学系で学ばれたが,アメリカ合衆国では大学のビジネス・スクール(アメリカ)がそれを引き受けた(1881年創設のペンシルヴェニア大学ウォートン・ビジネス・スクールが最初)。さらにアメリカでは20世紀に入ってビジネス・スクールの大学院化が進み,ダートマス大学(アメリカ)のタック・ビジネス・スクール(アメリカ)が大学院レベルの学位を最初に授与したが,それは科学修士(MS)であった。最初にMBAプログラムを提供したのはハーヴァード大学(アメリカ)のビジネス・スクールであり,1908年のことであった。MBAプログラムの質保証は,1916年創設の全米大学ビジネス・スクール協会(アメリカ)(AACSB)によるアクレディテーションが担ってきた(現在はAACSB International)。日本では,専門職学位課程による経営管理修士(日本)(専門職)と従来の大学院修士課程による修士(経営学修士(日本))があるが,資格社会であるアメリカほど流通しているわけではない。
著者: 阿曽沼明裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
企業の経営に役だつ実践的戦略や指導力などを学問として修得したことへの認証。経営学修士と訳される。約2年の間に財務、会計、マーケティングなど40~60単位の修了を義務づけられる場合が多い。欧米有名大学でのMBAは、その取得の難しさと、世界のビジネス界に広がる同窓生の人脈をも含め、ビジネスエリートのパスポートと称される。
アメリカのペンシルベニア大学ウォートン校Wharton Schoolが製鉄関係者の寄付を基に、1881年に導入したのが最初とされる。20世紀初頭にハーバード大学のハーバード・ビジネス・スクールHarvard Business Schoolが具体的な企業戦略の実例を「ケースメソッド」としてまとめ、経営判断力を磨く授業スタイルを取り入れて、世界に広がった。AACSB(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)などMBA教育の質を保証する国際認証機関も多数あり、欧米経済誌はMBAコースのある経営大学院のランキングを毎年公表している。
日本では慶応義塾大学が1978年(昭和53)にMBA取得課程を導入、多くの大学がMBA取得コースをもつ。ただ2008年からの世界金融危機を招いたアメリカの金融機関の経営者の多くがMBA取得者だったこともあり、近年、その教育内容を見直すべきだとの指摘も出ている。
[編集部]
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