PCR(読み)ピーシーアール

関連語 PIR

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「PCR」の意味・わかりやすい解説

PCR
ピーシーアール

複製連鎖反応 polymerase chain reactionの略。 DNAの特定の部位だけを増幅する方法。あらかじめ DNAを精製する必要はなく,細胞に1個しかない標的 DNAでもふやして解析できるので遺伝子の構造や機能の研究などのほか,法医学的な調査や考古学にまで応用できる。たとえば感染症の迅速診断,1本の毛髪,1個の精子の DNAから提供者の特定ができる。反応は,増幅部両端の塩基配列をもつプライマー (DNA合成の開始点となる3'-水酸基をもつ合成オリゴヌクレオチド) ,試料 DNA,DNAポリメラーゼ (DNA合成酵素) を混合し,(1) 高温による DNA二本鎖の解離,(2) 温度を下げて DNAとプライマーとのアニーリング (塩基対による結合) ,(3) DNAポリメラーゼによる相補鎖合成,の3ステップのみである。好熱細菌耐熱酵素を使うと高温で失活しないのでこの反応は温度変化だけで繰返すことができる。1回の反応で DNA量は2倍になり,25回では 225 (約 100万) 倍に増幅される。 RNA情報逆転写酵素 (RNAを鋳型にして DNAを合成する酵素) で cDNA (クローン化した DNA) に変えれば,この方法でふやせるので,目的mRNA微量でも解析できるようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のPCRの言及

【導電性樹脂】より

…(1)ゴムにカーボンブラックを分散させ,通常の状態では分離しているが,圧力をかけると粒子間が接近し,導電性を示すようにすることができる。PCR(pressure sensitive conductive rubberの略)といわれる。圧力が一定の値に達すると急激に抵抗が低下する(図1)。…

※「PCR」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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