塩基対(読み)エンキツイ(その他表記)base pair

デジタル大辞泉 「塩基対」の意味・読み・例文・類語

えんき‐つい【塩基対】

核酸塩基の2個が特異的に対合するもの。水素結合により、アデニンチミンまたはウラシルグアニンシトシンとで形成される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩基対」の意味・わかりやすい解説

塩基対
えんきつい
base pair

分子生物学における,水素結合でつながった二つの相補的な塩基。2本鎖デオキシリボ核酸 DNAおよび 2本鎖リボ核酸 RNAを構成する。塩基の結合により 2本の鎖がつながることで 2本鎖構造が形成される。塩基対を構成する塩基は,窒素を含む相補的な有機化合物であり,プリン塩基とピリミジン塩基に分けられる。DNAの二重螺旋構造はワトソン=クリック型塩基対で形成され,DNAの塩基にはプリン塩基であるアデニン A,グアニン G,ピリミジン塩基であるシトシン C,チミン Tの 4種類がある。DNA分子内では,アデニンはチミンと,シトシンはグアニンとしか結合しない。RNAでは,DNAのチミンがウラシル Uに置き換えられている。きわめて複雑なゲノムの場合,塩基対が膨大になる場合もある。たとえばヒトゲノムは 30億の塩基対からなり,約 2万~2万5000個の遺伝子が含まれるとされる。塩基対は数が多いため,1000個で 1キロベース(kbまたは kbp),100万個で 1メガベース(Mb),10億個で 1ギガベース(Gb)という単位が使われる。

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百科事典マイペディア 「塩基対」の意味・わかりやすい解説

塩基対【えんきつい】

核酸を構成する塩基が水素結合によって対合したもの。アデニンはチミン(RNAの場合はウラシル)と,グアニンはシトシンと特異的な塩基対をつくる。DNA二重らせん構造などを安定化させるとともに対合における塩基間の特異性のために,遺伝情報の複製転写翻訳に重要。塩基対は遺伝情報の長さの単位としても使われ,たとえばヒトゲノムは約30億塩基対と推定されている。

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化学辞典 第2版 「塩基対」の解説

塩基対
エンキツイ
base pair

相補的DNAは塩基間の水素結合で2本鎖となるが,このとき水素結合で対合する塩基の対.具体的には,アデニンチミン(A-T),およびグアニンシトシン(G-C)のペア.2本鎖DNAの長さの単位(bp)としても用いられる.mRNAなどの1本鎖核酸の長さの単位はヌクレオチド(nt).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「塩基対」の解説

塩基対

 核酸の構成ヌクレオチドのうち,DNAではデオキシアデニル酸デオキシチミジル酸デオキシグアニル酸デオキシシチジル酸が塩基対を形成して二重らせんを形成する.このヌクレオチドの塩基部分が対になることを塩基対という.RNAではアデニル酸ウリジル酸グアニル酸シチジル酸が塩基対となる.

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