VASIS(読み)ばしす

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

VASIS
ばしす

visual approach slope indicator systemの略称で、進入角指示灯のこと。着陸しようとする航空機に適切な進入角を示すために、滑走路末端付近の両側に設置される灯器である。パイロットは灯器から約3度の角度で発せられる光柱を視認しながら進入することにより、予定の着地点に向かって正しく降下することができる。標準型として、2‐BAR(バー)、3‐BAR、T‐BARの3種類のVASISがある。2‐BARVASISは、中・小型機用である。灯火の表示方式は次のようになっている。2‐BARVASIS、3‐BARVASISでは、赤と白の光柱を発しており、正しい降下経路上にあるときは赤と白の両方、またはピンク色が見え、上方に偏位すると白色のみ、下方に偏位すると赤色のみが見える。T‐BARVASISでは、正しい降下経路上にあるときは灯火が十字形に見え、上方に偏位すると逆T字形に、下方に偏位するとT字形に見える。なお、現在はVASISを改善した施設であるPAPI(パピ)(精密進入経路指示灯)が用いられており、VASISは廃止されている。

[青木享起・仲村宸一郎]

VASISからPAPIへの移行

VASISは、1961年10月国際民間航空機関(ICAO(イカオ))の国際標準方式として導入され、以後広く各国の空港で運用されてきた。しかし、運航方式の発達に伴い、いろいろと不備な点が指摘されるようになった。そこで精密進入着陸援助施設の必要性が高まり、英国王立航空機研究所によってPAPI(精密進入経路指示灯)が開発された。当時、PAPIが将来の方式として採用されるためには、VASISよりも優れているという多数のパイロットの意見が必要なことから、いくつかの空港で運用テストが実施され、この結果航空会社の大多数のパイロットからVASISより優れているという評価が得られた。PAPIはシステム構成灯数が少ないため、設置費用が安価、簡潔で直感性に優れた装置である。こうした状況に基づき、1983年3月PAPIはICAOの第14付属書に正式に規定され、ICAOの標準方式として採用された。一方VASISは、平均耐用年数を考慮し1985年1月以降は設置しない方がよいとされ、1995年1月1日をもってICAO標準の進入角指示灯から削除。日本においても、1983年(昭和58)以降各空港において、順次VASISからPAPIへの変更が行われたが、かならずしも一斉に行われたわけでなく、VASISの耐用年数との関係で進められたものと思われる。

[青木享起・仲村宸一郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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