内科学 第10版 「老人性紫斑病」の解説
老人性紫斑病(単純性紫斑病・老人性紫斑病)
概念
老人の萎縮した皮膚に認められる紫斑で,血管,結合組織の異常が原因である.年齢とともに血管周囲にある結合組織(コラーゲン,エラスチン)や脂肪組織が減少し,血管の進展度が低下する結果,軽度の刺激で皮下出血を起こす.
病態
血管壁の変成による伸展度の減少により,血管が傷つきやすく出血を起こす.
臨床症状
手背,前腕外側など外力を受けやすい部位に,比較的大きい(1~数cm)紫斑がみられる.境界は鮮明,形は不規則であり,暗紫紅色を呈する.
検査成績
止血機能に異常を認めない.すなわちスクリーニング検査(血小板数,APTT, PT)は正常である.Rumpel-Leede試験が陽性となることがある.
診断
皮疹の状況,発症状況などを考慮して診断する.止血学的検査で異常がないことが重要である.造血器疾患,血小板減少性紫斑病,栄養障害などを除外する.
経過・予後
出血斑は大きいことが多いが機能的な障害は少ない.皮膚の萎縮が原因であり再発は多い.
治療
有効な治療はない.物理的刺激をさけ,皮膚を保護する.[村田 満]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報