NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた初の宇宙背景放射探査機。宇宙背景放射を正確に観測するための科学衛星で、英語名COsmic Background Explorerの略称。1989年11月にアメリカのゴダード宇宙飛行センターより打ち上げられた。質量は約2270キログラムで太陽電池パネルを閉じた状態で全長5.49メートル、太陽電池パネルを開いた状態で8.53メートルになる。直径2.44メートルの椀(わん)状の観測装置をもち、機体から出る赤外線放射を極力抑えるために650リットルの液体ヘリウムで冷却した。軌道は全天をくまなく観測でき、かつ地球と太陽の影響を排除するように選ばれた。軌道高度は約900キロメートル、103分で地球を周回した。観測機器は下記の3種である。
(1)差分型マイクロ波測定器(DMR:Differential Microwave Radiometer):宇宙背景放射の詳細な地図作成により宇宙背景放射の非等方性を明らかにする。
(2)遠赤外絶対分光計(FIRAS:Far-Infrared Absolute Spectrophotometer):マイクロ波により宇宙背景放射のスペクトルを詳細に観測して、予測されるビッグ・バン後の黒体放射との違いを明らかにする。
(3)拡散赤外背景放射実験装置(DIRBE:Diffuse Infrared Background Experiment):1.25マイクロメートルから240マイクロメートルまでの波長を使って赤外線による宇宙背景放射を測定する。
FIRASにより宇宙背景放射のスペクトルが予測されるビッグ・バン後の黒体放射として2.725±0.001Kに相当することが確認され、ビッグ・バンの直接的な証拠と認められた。またDMRにより宇宙背景放射には10万分の1の非等方性があることが確認された。2006年、これらの業績により主任研究者のマザーとスムートにノーベル物理学賞が授与された。なお、1993年12月にCOBEの運用は停止された。
[編集部 2023年2月16日]
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