ヨーロッパ単一通貨であるユーロの導入国が財政危機に陥った際、金融支援を行った暫定的な救済基金。英語のEuropean Financial Stability Facilityの頭文字をとった略語で、日本では「ヨーロッパ(欧州)金融安定基金」「ヨーロッパ(欧州)金融安定ファシリティー」などと訳されている。ギリシアの巨額な財政赤字が発覚したのを機に広がったヨーロッパ債務危機に対処するため、2010年5月にヨーロッパ連合(EU)加盟27か国(当時)がEFSFの創設に合意。ドイツ、フランス、イタリアなどユーロ導入国17か国(当時)が出資し、2010年6月に設立した。当初は3年間の時限機関であった。株式会社の形態をとり、本部をルクセンブルクに置き、最高経営責任者にはヨーロッパ委員会の経済・金融総局長などを務めたドイツ人のクラウス・レークリングKlaus P. Regling(1950― )が就任した。ユーロ圏の信用力のある国々の政府保証つき債券(EFSF債)を発行し、国際金融市場から資金を調達。債務危機に陥って国際金融市場から資金調達がむずかしかったアイルランド、ポルトガル、ギリシアへ総額2000億ユーロの金融支援を行い、ヨーロッパの金融システム安定につなげた。基金の規模は4400億ユーロで、EFSF債の政府保証枠は総額7800億ユーロ。日本政府もEFSF債を購入している。2011年11月には、危機前でも予防的に緊急融資ができるようにするなどEFSFの機能を拡充した。2013年6月には融資業務を終了し、2013年7月以降、恒久機関であるESM(ヨーロッパ安定メカニズム)に金融安定化の役割を引き継ぐ予定であったが、ESMは前倒しして2012年10月に設立された。2015年6月末にはギリシアへの支援業務を終了し、以後、緊急融資を行った3か国からの回収業務やEFSF債の保有者への元利償還業務などに専念している。
[矢野 武 2016年3月18日]
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