EFSF(読み)イーエフエスエフ

デジタル大辞泉 「EFSF」の意味・読み・例文・類語

イー‐エフ‐エス‐エフ【EFSF】[European Financial Stability Facility]

European Financial Stability Facility》財政危機に陥ったユーロ参加国に対して金融支援を行う特別目的会社。2010年6月、ユーロ参加国が出資し、3年間の時限機関として、ルクセンブルク設立。各国政府の保証付き債券を発行し、金融市場から資金調達した。2013年7月以降はESM欧州安定メカニズム)がその役割を引き継いでいる。欧州金融安定ファシリティー欧州金融安定基金。→EFSM欧州金融安定メカニズム

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「EFSF」の意味・わかりやすい解説

EFSF
いーえふえすえふ

ヨーロッパ単一通貨であるユーロの導入国が財政危機に陥った際、金融支援を行った暫定的な救済基金。英語のEuropean Financial Stability Facilityの頭文字をとった略語で、日本では「ヨーロッパ(欧州)金融安定基金」「ヨーロッパ(欧州)金融安定ファシリティー」などと訳されている。ギリシアの巨額な財政赤字が発覚したのを機に広がったヨーロッパ債務危機に対処するため、2010年5月にヨーロッパ連合(EU)加盟27か国(当時)がEFSFの創設合意。ドイツ、フランス、イタリアなどユーロ導入国17か国(当時)が出資し、2010年6月に設立した。当初は3年間の時限機関であった。株式会社の形態をとり、本部をルクセンブルクに置き、最高経営責任者にはヨーロッパ委員会の経済・金融総局長などを務めたドイツ人のクラウス・レークリングKlaus P. Regling(1950― )が就任した。ユーロ圏の信用力のある国々の政府保証つき債券(EFSF債)を発行し、国際金融市場から資金を調達。債務危機に陥って国際金融市場から資金調達がむずかしかったアイルランドポルトガル、ギリシアへ総額2000億ユーロの金融支援を行い、ヨーロッパの金融システム安定につなげた。基金の規模は4400億ユーロで、EFSF債の政府保証枠は総額7800億ユーロ。日本政府もEFSF債を購入している。2011年11月には、危機前でも予防的に緊急融資ができるようにするなどEFSFの機能を拡充した。2013年6月には融資業務を終了し、2013年7月以降、恒久機関であるESM(ヨーロッパ安定メカニズム)に金融安定化の役割を引き継ぐ予定であったが、ESMは前倒しして2012年10月に設立された。2015年6月末にはギリシアへの支援業務を終了し、以後、緊急融資を行った3か国からの回収業務やEFSF債の保有者への元利償還業務などに専念している。

[矢野 武 2016年3月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android