企業本体から資産の譲渡を受け、株式や債券を発行して資金を調達するなど、特別な目的のために設立される会社。企業買収の際に活用されることもある。事業を運営して営利を追求する通常の会社組織とは異なる。英語の頭文字を取って「SPC」と略される。
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金融機関、不動産会社、商社などから不動産や貸出債権などの固定資産を買い取り、この資産を担保に小口の有価証券(株式や債券)を投資家へ発行する会社。略称SPC。ペーパー・カンパニーのことが多い。金融機関や不動産会社はSPCへ資産を売却することで資金調達できるうえ、貸借対照表から当該資産を切り離して資産の健全化を進められる。資産から得られる金利や賃貸料などは投資家へ配分され、預金より利回りのよい金融商品(有価証券)の提供につながる。
金融機関の不良債権を処理し、塩漬け(価値の下落などによる長期所有)となった不動産を流動化するため、1998年(平成10)にSPCの設立を容易にする「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」(SPC法)ができた。2000年には同法を改正・改題した「資産の流動化に関する法律」(改正SPC法)が施行され、SPCの最低資本金の引下げ(300万円から10万円)や登録制から届け出制への移行で、より簡単にSPCを設立できるようになった。SPC法に基づく特別目的会社は「特定目的会社」とよばれ、ほかのSPCと区別されている。
SPCは一般企業と違って、配当金を損金算入することが認められ、不動産などを取得する際にかかる不動産取得税などの減免措置も受けられる。国内だけでなく、タックス・ヘイブン(租税回避地)とされるケイマン諸島など海外に本社を置くことが多い。
SPCを通じて日本企業が本社資産を証券化して財務を健全化するなど、SPCは日本で急速に普及。国土交通省はSPCを通じた不動産証券化市場(2007年度)だけで、8兆円を超えたと試算している。ただ2001年に経営破綻(はたん)したアメリカのエネルギー大手、エンロン社はSPCを決算操作に悪用していた。欧米からは日本のSPCは情報開示が不透明との批判もあり、SPC規制を強化すべきだとの論議が起きている。
[矢野 武]
『渥美博夫・衞本豊樹監修、高木秀文編著『TMKの理論と実務――特定目的会社による資産の流動化』(2009・金融財政事情研究会)』
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