改訂新版 世界大百科事典 「GEK」の意味・わかりやすい解説
GEK (ジーイーケー)
geomagnetic electro-kinetographの略。電磁海流計と訳す。海流の流れを測定するための流速計の一種。1950年にアメリカのアークスW.von Arxによって考案された。表層の海流は地磁気の鉛直成分に対して直角の水平方向に運動するので,地磁気の鉛直成分と流速に比例した誘導起電力が生じ,下層の海水や海底を通した閉回路に電流が流れている。この電位差を観測船の船尾から,約60mの間隔で二つの電極を取り付けたケーブルを曳航して測定する。GEKの電極も海流に流されるので,検出する電位差は船の進行方向に直角な海流の成分の寄与になる。そこで船の進路を変えもう一度測定する。測定された2方向の電位差から流速を求め,ベクトルの合成によって流向と流速を求める。日本では,1955年より黒潮の観測に用いている。
執筆者:平 啓介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報