GUAM(読み)ぐあむ(英語表記)GUAM-Organization for Democracy and Economic Development

共同通信ニュース用語解説 「GUAM」の解説

GUAM

民主主義経済発展のための機構GUAM いずれも旧ソ連の構成国であるジョージア(旧グルジア)、ウクライナアゼルバイジャンモルドバの4カ国による地域機構。頭文字からGUAMとした。親欧米路線を取る。1997年結成の地域協力フォーラムが前身ロシアと距離を置き、自由貿易圏づくりや欧州諸国との連携強化を目指している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「GUAM」の意味・わかりやすい解説

GUAM
ぐあむ
GUAM-Organization for Democracy and Economic Development

CIS(独立国家共同体)諸国による、民主主義と経済発展を支柱とする地域統合のための国際機構。「民主主義と経済発展のための機構GUAM(グアム)」の略称で「民主主義・経済発展のための機構GUAM」ともいう。本部所在地はウクライナの首都キーウ。参加国は、ジョージア(グルジア)、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバ。機構名のGUAMは参加国名の頭文字を並べたものである。

 1997年10月に経済協力強化などのため地域協力機構として立ち上げられた(1999~2005年の間はウズベキスタンも参加しGUUAMと称した)が、2006年5月に国際的な機構へと改組され、規約を採択常設の事務局が設置された。

 参加4か国は、CIS諸国のなかでも親欧米路線をとり、とくにヨーロッパ連合EU)や北大西洋条約機構NATO)との関係強化を重視する。GUAMの創設により、参加国域内では自由貿易圏が形成された。地理的にはヨーロッパアジアの間に位置し、政治、文化、地域紛争、エネルギー問題などでロシアとは微妙な関係にあるこの4か国を結び付ける共通項として、ロシアからの自立志向、民主化の促進、欧米との連携と親EU路線、市場経済の促進、カスピ海沿岸地域からの原油輸送ルートを巡る問題における立場の一致が存在する。豊かな地下資源、とくに石油・ガスなどのエネルギー資源を有し、また資源輸送の中継地点としても重要であり、世界的な安全保障の観点からも注目される。

[編集部]

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知恵蔵 「GUAM」の解説

GUAM

ロシアから距離を置く政策をとったグルジア、ウズベキスタン、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバが1999年に、参加国の頭文字をとってGUUAMを形成。その後ウズベキスタンが脱退してGUAMとなった。旧ソ連諸国の内部は、ロシアとの関係で立場が3つに分かれている。もともと反ロシアで、独立国家共同体(CIS)にも加わらず、今は北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)に加わっているバルト3国、ロシアとの緊密な関係を保ち、関税同盟を基礎にして2000年10月にユーラシア経済共同体を結成したベラルーシ、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、アルメニアに、ウズベキスタンを加えた6カ国、そしてGUAM諸国である。01年4月モルドバに共産党の大統領が現れてロシアに傾き、ウズベキスタンも態度を変えて、GUUAMは形骸化した。その後、03年にグルジアで、04年にウクライナで親欧米政権が成立し、モルドバもそれに同調してGUUAMの性格が明確な親欧米、民主化志向に変わったため、05年4月にウズベキスタンが脱退、アゼルバイジャンも距離を置いている。GUAM諸国は06年5月に、この組織を「民主主義と発展のための国際機関」に格上げし、NATOとの協力姿勢を強めた。しかし、ウクライナにヤヌコビッチ首相が登場し、ロシアのモルドバ、グルジアへの経済的締め付けも強まり、今後の行方は不透明である。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

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