動脈瘤の一種。脳動脈壁の3層のうちの中膜欠損部位が瘤(こぶ)状にふくらんだもので,おもに主幹脳動脈近傍に発生する。ほとんどの脳動脈瘤は先天性と考えられているが,まれに細菌性,梅毒性,動脈硬化性動脈瘤も存在する。動脈瘤壁は薄く,破れてくも膜下出血をきたす。症状として悪心,嘔吐を伴った激しい頭痛で発症し,重篤な意識障害も起こりうる。好発年齢は40~50歳代である。第1回目の発作(動脈瘤破裂)による死亡率は10~15%であるが,第2回目の発作では40~45%と増大する。第1回目の発作後,できるだけ早期に手術(クリッピング術)で再破裂を予防すべきである。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血後,約40%の患者に脳血管が細くなる,いわゆる血管攣縮(れんしゆく)が合併し,そのため脳は血液不足となり,重篤な症状を示すことが多い。血管攣縮は,くも膜下腔へ流出した血液成分の分解産物が原因と考えられるが,これに対する治療法はまだ確立されていない。くも膜下出血のもう一つの合併症として正常圧水頭症がある。これは髄液(脳脊髄液)の循環状態が異常をきたしたもので,脳室-腹腔短絡術が功を奏する。なお径2.5cm以上の脳動脈瘤をとくに巨大脳動脈瘤と呼ぶが,これは出血することはまれで,むしろ周りの脳組織の圧迫症状として発症し,50歳以上の女性に多い傾向がある。
→蜘珠(くも)膜下出血
執筆者:江口 恒良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…くも膜下腔は髄液で満たされているので,この場合出血は局所にとどまらず,脳・脊髄の髄液全体に拡散する。くも膜下出血の原因としては,頭部外傷,脳動脈瘤,脳動静脈奇形などがある。全脳血管障害の8%をくも膜下出血が占め,その約70%が脳動脈瘤の破裂によるものである。…
※「脳動脈瘤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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