気候変動の主因とされる温室効果ガスの排出を、開発途上国の森林の減少や劣化を抑制することによって削減しようとする取り組み。Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation in developing countriesの略である。気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第11回締約国会議(COP11、モントリオール)で、REDDの考え方が初めて提案され、COP13(2007年、バリ)において行動計画として合意された。
COP13において「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が発表した報告書では、人為的な活動に伴って排出される温室効果ガスのうち、その約17%は森林減少に由来するとされた。そこで、森林の伐採抑制や保全活動などにより、大気への炭素排出が抑制されることは、結果的に費用対効果に優れた温室効果ガス対策であるとして評価されることになった。しかし、1997年(平成9)に採択された京都議定書には、途上国における森林減少・劣化を抑制する取り組みを評価する仕組みが示されていなかった。そこで途上国に対して国際社会が利益を提供するために、新たに提示された考え方がREDD+(レッドプラス)である。REDD+では、REDDをもとに、森林の保全と持続可能な管理、および森林炭素蓄積の増強という概念を追加したもので、COP15(2009年、コペンハーゲン)で枠組みを推進していくことの合意が得られた。さらに、COP21(2015年、パリ)において、2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組みとして合意することを目ざしている。
REDD+では、過去の温室効果ガス排出量などを参考にして予測された将来の排出量参照レベルを実際の排出量が下回れば、温室効果ガス排出を削減したとみなされる。途上国はその成果に応じ、排出権のREDDクレジットを獲得して炭素市場で取引できるという仕組みである。
このようなREDD+の考え方や仕組みを生かしたカーボンオフセットプログラムは、REDD+プロジェクトとよばれ、温室効果ガス削減以外にも、途上国における生物多様性の保全や、先住民のコミュニティ支援につながる取り組みとして期待されている。
[編集部]
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