t分布(読み)ティーぶんぷ(その他表記)t-distribution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「t分布」の意味・わかりやすい解説

t分布
ティーぶんぷ
t-distribution

数理統計学の正規標本論における基本分布一つ正規分布N(θ,σ2)をもつ母集団(正規母集団)を仮定した場合,θの値が特定値θ0に等しいことの検定は,大きさ n の標本 x1x2,…,xn から,
の値の大小により行なわれる。 がθ0からσ/√n単位として何倍ずれているかを示す量である。しかし,これはσが利用できる(σの値が既知のとき)場合で,そうでないときは,σを s(標本不偏分散から求めた標準偏差)で代用する。z標準正規分布 N(0,1)に従うが,
は新しい分布に従う。ウィリアム・S.ゴセットは,これについて,次の分布を求めればよいことを発見した。XN(0,1),Y を自由度 nχ2分布に従う独立な確率変数とするとき, の従う分布を自由度 nt分布 tn)と定義する。これによれば,上の t は自由度(n-1)の t分布 tn-1)に従うことがわかり,この数表さえあれば検定ができる。一般に t分布を用いる検定を t検定という。(→統計的検定

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関連語 カイ

世界大百科事典(旧版)内のt分布の言及

【確率分布】より

…それは密度関数,をもつ分布である。(3)X,Yを独立で,それぞれ標準正規分布,自由度nΧ2分布に従う確率変数とするとき,の分布を自由度nt‐分布という。その密度関数は,である。…

【数理統計学】より

…このtの分布関数Sn(x)=P(tx)は密度関数sn(x)=Sn′(x)をもち,それは,と表される。分布関数Sn(x),あるいは密度関数sn(x)をスチューデント分布またはt分布といい,ゴセットWilliam Sealy Gosset(1876‐1936。ペンネームがStudent)によって初めて統計の問題に用いられた。…

※「t分布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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