運転免許証の更新に際して、更新期間満了日の年齢が70歳以上である者が受講を義務づけられている講習。通常は2時間で、講義、運転適性検査のほか、実際に車両に乗車して指導を受けることが含まれている。
高齢運転者の事故の増加を背景として、高齢者標識制度(高齢者マーク)、申請による免許の取消し(運転免許証の自主返納)制度とともに、1997年(平成9)の道路交通法改正により設けられた(施行は翌年)。自動車の運転や検査等を通じて高齢運転者に自らの身体機能の変化を自覚させたうえで、その結果に基づく助言、指導を行うものである。対象は当初75歳以上であったが、2002年(平成14)から70歳以上に拡大されている。また、2020年(令和2)の道路交通法改正(施行は2022年)では、免許証更新手続について、運転技能検査(75歳以上で、一定の違反歴がある者が対象)の導入、認知機能検査方法の変更、高齢者講習の短縮が行われた。
70歳未満の者が受ける更新時講習とは異なり、自動車教習所と運転免許試験場で行われる。予約制で、更新期間満了日の6か月前から受講が可能である。運転適性検査(動体視力、夜間視力および視野の測定)、講義(座学)、定められた課題の運転と運転に関する指導が行われる(当初は全体で3時間であったが、合理化が図られ、2時間に短縮された)。原付や二輪など普通自動車の運転ができない免許のみを保有する者の場合は、実車指導はなく、1時間となる。なお、同じ期間内に、他の都道府県にある自動車教習所で同内容の講習(特定任意高齢者講習)を受講した場合や、教習所が独自に設定した運転免許取得者等教育でとくに認められているものを受けた場合には、高齢者講習の受講が免除される。
75歳以上の者の場合には、まず認知機能検査が行われ、認知症のおそれがないとされたときに高齢者講習を受講する。認知症のおそれがあるとされたときは、医師の診断を受け、認知症でないとされたときに、高齢者講習を受講することになる。また、75歳以上で一定の違反歴がある者の場合、普通免許等を保有しているときは、運転技能検査の受検が義務づけられており、それに合格した後に、臨時認知機能検査を受けることになる。臨時認知機能検査の結果が前回よりも悪化しているときは、更新とは関係なく、臨時高齢者講習を受けることが義務づけられている。なお、運転技能検査に合格した者が高齢者講習を受ける際には、実車指導を要しないものとされている。
運転免許証の有効期間満了に際して、身体機能の低下等を理由に更新をしないこととした場合には、運転免許は失効するが、申請により免許の取消しを受けた(自主返納をした)場合と同様に、運転経歴証明書の交付を受けることができる。
2021年中の高齢者講習受講者は全国で約338万人(75歳以上は約199万人)である。
[田村正博 2023年2月16日]
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