ツキノワグマ
日本からイランまでのアジアに広く分布するクマの一種。体毛が黒く、胸に三日月形の白い模様がある。世界では減少傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)は3段階ある絶滅危惧種の分類で一番下の「危急」と評価している。環境省によると、日本では本州と四国に推計で4万2千頭以上が生息しており、本州での分布は拡大傾向にある。四国の生息数は2017年時点で16~24頭と見積もられており、絶滅の恐れが非常に高い。九州では絶滅したと考えられている。
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ツキノワグマ
Selenarctos thibetanus; Ursus thibetanusAsiatic black bear: moon bear
食肉目クマ科。アジアクロクマ,ヒマラヤグマなどとも呼ばれる。イラン南部からヒマラヤ地域,東南アジア,日本を含む東アジアに生息する。雑食性で,昆虫,果実,木の実,ミツバチおよび蜂蜜,小型哺乳類,鳥類のほか腐肉も食べる。家畜を襲うこともある。毛色はつやのある黒色が一般的で,胸もとには三日月形の白っぽい斑紋がある。首もとと肩にかけてのやや長めの粗い体毛は変形したたてがみを形成している。体長は 130~190cmで,これに 7~10cmの尻尾が加わる。体重は成体の雄の場合 100~200kg,雌の場合はその約半分である。
夏の間は森林に覆われた高地や丘陵地に生息して秋までに脂肪を蓄え,寒い地方では冬の間ほとんど眠って過ごすといわれる。雌雄ともに 3~4歳で性成熟し,6~10月に交尾を行ない,雌は妊娠後 7~8ヵ月で 1~2頭の子を産む。子は 1~2年,母とともに暮らす。野生で約 25年,飼育下では 40年近く生きるといわれる。
国際自然保護連合 IUCNのレッドリストの評価では,ツキノワグマは絶滅危惧種のうちの危急種 VU(絶滅危惧II類)に分類されている。中国などでは森林伐採などによる生息地の縮小が懸念されているが,日本では過疎化や農林業の担い手の減少・高齢化に伴う耕作放棄地や荒れた里山の増加により,生息域が拡大しているとみられる。胆嚢は生薬として重宝され,これを乾燥させた「熊の胆(くまのい)」「熊胆(ゆうたん)」は健胃薬,強壮薬などとして用いられている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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ツキノワグマ (月輪熊)
Selenarctos thibetanus
食肉目クマ科の哺乳類。全身黒色で,胸に三日月型の白斑がある中型のクマ。イラン北部からヒマラヤ地方を経て,南はベトナム北部,北はアムールまでに分布する。日本の亜種ニホンツキノワグマS.t.japonicusは,本州に多く,四国,とくに九州には少ない。比較的よく発達した前肢をもつことから木登り能力に優れ,樹上でどんぐりなどを大量に食べる。ヒグマよりずっと小さく,体長130~160cm,尾長8cm前後,体重120kg前後。森林,とくに落葉広葉樹林に好んですみ,草木の根,新芽,花,果実など,もっぱら植物を食べ,動物質は,事実上アリ,ハチ,カニなどの小動物に限られる。寒い地方では,冬,木の洞,岩穴などに入って冬眠し,このとき雌はふつう2子を生む。胆囊は,〈熊の胆(くまのい)〉と称し,健胃剤として珍重される。肉食性の傾向の強いヒグマに比べて,植物食の傾向が強いためかはるかにおとなしいが,突然の出会いなどによる人の被害がわずかながら毎年ある。このための駆除と,天然林伐採による生息域の減少から,近年絶滅の恐れが出ている。
→クマ
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ツキノワグマ
つきのわぐま / 月輪熊
Himalayan black bear
Asiatic black bear
[学] Selenarctos thibetanus
哺乳(ほにゅう)綱食肉目クマ科の動物。アジアクロクマ、ヒマラヤグマの名もある。アフガニスタン、イランからアムール川以南のアジア大陸東部、海南島、台湾、日本まで東アジアに広く分布する。頭胴長1.9メートル、最大体重は雄で210キログラム、雌で170キログラムの記録がある。毛は黒く、普通、前胸に三日月状の白斑(はくはん)、いわゆるツキノワ(月輪)があるが、地域によってはこの白斑をもたないものがある。
日本のものはこの1亜種でニホンツキノワグマS. t. japonicusとよばれ、本州、四国に分布するが、九州では絶滅したものとみなされている。西日本での分布域の減少が著しい。
春はフキ、スゲなどの草本、タケノコ、秋はミズナラ、ミズキ、ヤマブドウなどの樹木の実を主として食べるほか、アリやハチも好む。樹洞や岩穴などに入って冬ごもりし、この間、雌は1~2子を産む。春先、冬ごもり穴から出てきたクマは、越冬前に比べ体重が約20%も減少している。
[渡辺弘之]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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「ツキノワグマ」の意味・わかりやすい解説
ツキノワグマ
ヒマラヤグマ,クロクマとも。食肉目クマ科の哺乳(ほにゅう)類。体長1.2〜1.9m,尾8cmほど。体は黒色で,普通,前胸に三日月状の白斑をもつ。東アジアに分布し,日本の亜種ニホンツキノワグマは本州,四国,九州に産する。山地の落葉広葉樹林に好んですみ,おもに夜出歩き,草,果実,カニ,アリなどを食べる。晩秋から大木の樹洞などで冬眠,そこで普通2子を生む。肉は食用,毛皮は敷物にされ,胆嚢は熊の胆(い)と称し健胃剤として珍重される。駆除と天然林伐採により絶滅の恐れがある。
→関連項目クマ(熊)
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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ツキノワグマ
学名:Ursus thibetanus
種名 / ツキノワグマ
別名 / アジアクロクマ
科名 / クマ科
日本にいる動物 / ◎
解説 / 山地から海岸近くまでの森林で生活しています。
体長 / 1.1~1.5m
体重 / 40~150kg
食物 / 植物の葉、実、根のほかに昆虫など
分布 / 東アジアに分布。日本では本州、四国
絶滅危惧種 / ☆
出典 小学館の図鑑NEO[新版]動物小学館の図鑑NEO[新版]動物について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のツキノワグマの言及
【クマ(熊)】より
…温帯や熱帯などの温暖な地域にすむものはおもに夜行動し,寒冷な地域では昼間行動する傾向が見られる。水中に入って,魚,アザラシなどをとらえるホッキョクグマを除いて,草,木の葉,芽,根,果実,アリ,ハチ,その他の昆虫,魚,哺乳類などを,地上あるいは木に登って採食する雑食性であるが,種によってヒグマのように動物食の傾向の強いもの,ツキノワグマのように植物食の傾向の強いものなどの違いがある。前者のほうが攻撃的である。…
【熊の胆】より
…民間ではウサギ,タヌキ,キツネなどの胆囊も熊の胆と称し,味も同様である。【新田 あや】
[民俗]
かつてはツキノワグマのものも用いられた。民間薬として万病に効ありと賞用されている。…
※「ツキノワグマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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