日本大百科全書(ニッポニカ) 「レイブ」の意味・わかりやすい解説
レイブ
れいぶ
rave
イギリスでの1988~89年のクラブ・カルチャーの大衆化に伴って発生した、大規模なダンス・パーティー。多くの場合数千人から数万人の客が集まり、DJが流すテクノやハウスなどのクラブ・ミュージックに合わせて一晩中踊る。しばしば広い土地(倉庫や体育館、野外など)を不法に占拠して行われ、参加者はちらしや電話、インターネットなどでの情報をもとに密かに集まることもしばしばである。都市のダンス・クラブでのパーティーとは異なり、レイブに集まる客はカジュアルなファッションを身にまとい、ドラッグの摂取によって乾いた喉を潤すための飲料水を携帯する。
イギリスで発生したレイブは、クラブ・ミュージックの世界的な流行と相まってその後世界各地に広がっていく。ドイツのベルリンでは89年から毎年7月、テクノ・レイブの祭典であるベルリン・ラブ・パレードが開催されており、ベルリン中がレイバーによって埋め尽くされる光景を見ることができる。また往年のヒッピーの聖地、インドのゴアでは世界各国から集まったレイバーによる大規模なレイブ・パーティーがしばしば行われている。90年代のレイブ・シーンで主流のダンス・ミュージックは、テクノやハウスが変化・結合するうち90年代初頭に成立した、トランスと呼ばれるジャンルが中心となってきている。東欧やアメリカ、イスラエル、南アフリカ、オーストラリア、台湾、日本などでも90年代にレイブは定着し、シャーマニズムやエコロジーといったヒッピー思想の現代的な流れとも重なり合いながら、現代の祝祭としての色合いを強めている。
[増田 聡]
『野田努・『宝島』編集部編『クラブ・ミュージックの文化誌――ハウス誕生からレイヴ・カルチャーまで』(1993・JICC出版局)』▽『清野栄一著『Rave Traveller――踊る旅人』(1997・太田出版)』▽『清野栄一・鶴見済著、木村重樹編集・構成『レイヴ力』(2000・筑摩書房)』