児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)に基づき、ひとり親家庭の父または母、祖父母などの養育者に対し、生活の安定や子供の福祉の増進を目的として支給される手当。ひとり親家庭以外では、父や母が一定程度の障害をもつ場合や、父や母が配偶者からの暴力により裁判所から保護命令を受けている場合にも支給される。対象となるのは18歳までの児童で、児童に中程度以上の障害がある場合には支給年齢が20歳までに引き上げられる。手当の月額は児童の数や受給資格のある人の所得に応じて異なる。
支給額は物価水準に従って変動するが、2019年(令和1)11月時点の児童扶養手当の月額は以下のようになっている。
(1)児童1人 全額支給4万2910円、一部支給4万2900~1万0120円(所得に応じて決定)。
(2)児童2人目の加算額 全額支給1万0140円、一部支給1万0130~5070円(所得に応じて決定)。
(3)児童3人目以降の加算額(1人につき) 全額支給6080円、一部支給6070~3040円(所得に応じて決定)。
また、受給資格者の所得(収入から控除額を差し引いた金額)の制限限度額(以下、限度額と略す)は、下記のように税法上の扶養親族等の人数によって決められている。
(1)0人 全額支給の限度額49万円、一部支給の限度額192万円。
(2)1人 全額支給の限度額87万円、一部支給の限度額230万円。
(3)2人 全額支給の限度額125万円、一部支給の限度額268万円。
(4)3人 全額支給の限度額163万円、一部支給の限度額306万円。
以降扶養親族人数が1人増すごとに、限度額に38万円が加算される。受給には市区町村への申請が必要である。
児童扶養手当は母子家庭を対象として、1961年(昭和36)に創設された。2017年度(平成29)末における受給者数は97万3188人で、そのうち母が88万6973人、父は5万3470人、それ以外の養育者が3万2745人である。受給者数は1975年ごろから増加してきたが、2012年度の108万3317人をピークに減少に転じている。受給額においては、2008年度から受給資格者の所得に応じた支給限度額が設けられた。その後、支給対象が拡大され、2010年に父子家庭、2012年には配偶者からの暴力で保護命令の出ている家庭も支給対象となった。さらに、2014年12月からは、児童を養育する祖父母などの公的年金受給額が児童扶養手当よりも低いとき、その差額を受給できるようになった。また、2016年8月分から実施された児童2人目以降の金額の引上げは、2人目については36年ぶり、3人目以降については22年ぶりである。2017年からは物価の上下にあわせて支給額が変わる物価スライド制が、2人目以上の場合の加算額を含めて全面的に導入されている。また、2019年11月分から、それまで4か月分年3回払いであったが、2か月分年6回払いに改められた。
[編集部 2021年2月17日]