十羅刹女(読み)ジュウラセツニョ

デジタル大辞泉 「十羅刹女」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐らせつにょ〔ジフ‐〕【十羅刹女】

法華経に説かれる10人の羅刹女。初め、人の精気を奪う鬼女であったが、のちに鬼子母神らとともに仏の説法に接し、法華行者を守る神女となった。藍婆らんば毘藍婆びらんば曲歯こくし華歯けし黒歯・多髪・無厭足むえんぞく持瓔珞じようらく皐諦こうたい・奪一切衆生精気。十羅刹

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精選版 日本国語大辞典 「十羅刹女」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐らせつにょジフ‥【十羅刹女】

  1. 仏語。法華経に説かれる法華経受持の人を護持する一〇人の女。初め、人の精気を奪う鬼女であったが、後に鬼子母神らとともに仏の説法に接し、法華行者を守る神女となった。藍婆(らんば)毘藍婆(びらんば)・曲歯(こくし)・華歯(けし)・黒歯・多髪(たほつ)・無厭足・持瓔珞(じようらく)・皐諦(こうたい)・奪一切衆生精気(しょうけ)の称。十羅刹。
    1. [初出の実例]「我、凡夫を不離(はなれ)ざる故に、法花守護の十羅刹女(らせつにょ)愛欲の心を(おこ)せる咎を悔ひ悲て」(出典今昔物語集(1120頃か)一三)
    2. [その他の文献]〔法華経‐陀羅尼品〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十羅刹女」の意味・わかりやすい解説

十羅刹女
じゅうらせつにょ

『法華経』陀羅尼品 (だらにほん) に説く,同経を守護する 10人の鬼神。像容は天女形で,忿怒形に描かれることはない。装束唐風和風の2様があり,持物は必ずしも一定しない。『平家納経』『扇面法華経冊子』のように,『法華経』の見返し絵や表紙に描かれるほか,『普賢十羅刹女図』として白象に乗った普賢菩薩に伴って描かれることも多い (盧山寺本,日野原家本) 。

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世界大百科事典(旧版)内の十羅刹女の言及

【鬼子母神】より

…その形像は,天女像で,左手で懐に一子を抱き,右手に吉祥果(きつしようか)(ザクロが多い)をもつ端麗豊満な姿態。いっぽう,《法華経》には,十羅刹女(じゆうらせつによ)とともに鬼子母が,法華信奉者の擁護と法華信仰弘通を妨げる者の処罰とを誓っている。日蓮はこれにもとづき文字で表現した曼荼羅本尊に鬼子母神の号を連ね,鬼子母と十羅刹女に母子の関係を設定している。…

※「十羅刹女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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