天明浅間山噴火(読み)てんめいあさまやまふんか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天明浅間山噴火」の意味・わかりやすい解説

天明浅間山噴火
てんめいあさまやまふんか

天明3(1783)年4月9日から始まり,同年7月8日頃まで約 90日間続いた浅間山の大噴火。天明の浅間焼けとして知られる。4月9日に最初の鳴動が記録され,その後 1ヵ月半は静穏であったが,5月26日に降灰を伴う爆発的噴火が発生,しばらくの休止期間のあと,6月18日頃から噴火が活発化した。6月28日からは連日噴火が継続し,6月29日には江戸で,また 7月6日には銚子でも降灰が見られた。7月7日から噴火はさらに激しくなり,北北東方向の山麓吾妻火砕流(→火砕流)が流下し,最大 10km流れ下った。この火砕流での人的被害はなかった。翌7月8日には大爆発とともに鎌原火砕流岩屑雪崩が高速度で北麓に流れ下った。鎌原村(のちの嬬恋村)はこれらの直撃を受け,人口 570人中 477人が犠牲になった。この岩屑雪崩吾妻川に突入し,天明泥流となり周囲の田畑家屋に大被害を与え,渋川で利根川に合流,銚子や江戸川を経て江戸湾まで流下した。浅間山北斜面に残る鬼押出岩は,噴火が最も激しかった 7月8日頃に流下した。被害は死者 1624人,流失家屋 1151戸,焼失家屋 51戸,倒壊家屋 130戸余りと推定されている。(→天明の飢饉

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