奪衣婆(読み)ダツエバ

デジタル大辞泉 「奪衣婆」の意味・読み・例文・類語

だつえ‐ば【奪衣婆/脱衣婆】

三途さんずの川の岸にいて、亡者衣服をはぎ取り、衣領樹えりょうじゅの上に待つ懸衣翁けんえおうに渡すという老女の鬼。

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精選版 日本国語大辞典 「奪衣婆」の意味・読み・例文・類語

だつえ‐ば【奪衣婆・脱衣婆】

  1. 冥土に行く途中にあるという三途(さんず)の川の岸の衣領樹の下にいて、亡者の衣類をはぎ取って樹上懸衣翁に渡すといわれる老女の鬼。三途河の婆。だつえ。
    1. [初出の実例]「衣類引き出し取り散らすは、三途川の奪衣婆(ダツヱバ)苛責もかくやと哀れなり」(出典浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)中)
    2. 「善道ならずして着る錦は、三途河(さうづか)の岸までいたらず、脱衣婆(ダツヱバ)の手をまたずして、自らうしなふ」(出典:人情本春色辰巳園(1833‐35)四)
    3. [その他の文献]〔地蔵十王経〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「奪衣婆」の意味・わかりやすい解説

奪衣婆
だつえば

冥府葬頭河 (三途の川) のほとりに立っていて,亡者の衣類をはぎ取る鬼婆。脱衣婆 (鬼) ,葬頭河婆ともいう。懸衣翁がその衣を衣領樹に掛け,その枝の高低によって罪の軽重を定めるという。『地蔵十王経』などにある。

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世界大百科事典(旧版)内の奪衣婆の言及

【三途の川】より

…三途の川のことは,死出の山とともに説かれるが,仏説ではなく,俗説である。三途の川のほとりには衣領樹(えりようじゆ)という大樹があり,その下に奪衣婆(だつえば),懸衣翁(けんえおう)という鬼形の姥と翁がいて,姥は亡者の衣服を奪い取り,それを翁が受け取って衣領樹に掛ける。亡者の生前の罪の軽重によって枝の垂れ方が異なるという。…

※「奪衣婆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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