翻訳|identity
x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2),1+tan2θ=sec2θのように,変数を含んだ等式で,その変数にどんな値を代入しても,両辺に意味がある限り(上の例では,第2式はcosθ=0となるようなθの値が除外される)等式が成り立つとき,その等式を恒等式という。ただし,変数の値の範囲は,通常実数全体であるが,複素数全体で考えることも,また後述のようにその他の場合もある。
(1)多項式による恒等式については,次のことが基本的である。
f(x),g(x)が一変数xについての数係数の多項式であり,次数がd以内であるとき,相異なるd+1個のxの複素数値a1,……,ad+1についてf(ai)=g(ai)が成り立てば,f(x)=g(x)は恒等式である。このことは,多変数の場合,次のように一般化される。
f(x1,……,xn),g(x1,……,xn)がn変数x1,x2,……,xnについての数係数の多項式であって,f,gとも,xiについての次数がdi以内であるとき,相異なるdi+1個の複素数からなる集合Si(i=1,……,n)を適当にとって,
ai∈Si (i=1,2,……,n)
f(a1,a2,……,an)=g(a1,……,an)
となるならば,f(x1,……,xn)=g(x1,……,xn)は恒等式である。したがって,次の系が得られる。
f(x1,……,xn),g(x1,……,xn)
h(x1,……,xn),k(x1,……,xn)
が数係数の多項式で,いずれも定数は0でないとする。このとき,
f(x1,……,xn)k(x1,……,xn)=g(x1,……,xn)h(x1,……,xn)
が恒等式であれば,も恒等式であり,逆も成り立つ。
このことは,数係数,複素数の代りに,ある可換体Kを考え,Kに係数をもつ,Kの元にそれぞれおきかえても正しい。
(2)値が特殊な演算体系内を動くときにも,その体系についての恒等式という概念がある。そのようなもののうち有名なものは,それぞれの体系における演算公式ともいえるものである。
執筆者:永田 雅宜
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…(1),(2),(3),(4)では両辺をそれぞれ適当に整理すると,両辺がまったく同じになり,等号はいつも成り立つ。このような等式を恒等式という。一方,(5),(6),(7)では,変数xやyに着目すると,xやyが特定の値をとるときにのみ等号が成り立つ。…
※「恒等式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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