雲仙岳眉山崩壊(読み)うんぜんだけまゆやまほうかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雲仙岳眉山崩壊」の意味・わかりやすい解説

雲仙岳眉山崩壊
うんぜんだけまゆやまほうかい

寛政4(1792)年4月1日の雲仙岳前山眉山)の崩壊が引き起こした大災害。雲仙岳で 同 3年10月から地震活動が活発化し,同 4年1月には普賢岳山頂付近で小噴火が発生した。2月6日,山頂の北東山腹で新たに噴火が始まり,新焼溶岩が噴出,この火山活動(火山作用)は約 2ヵ月続いた。また 3月1日から数日にわたり島原半島東部で激しい群発地震が発生した。4月1日,強い地震と同時に眉山東部が大崩壊し,約 0.34km3土砂有明海流入,大津波が発生した。古文書絵図から推定された島原半島の津波の高さは 10~20m,最大の遡上高は 50m近くで,対岸肥後天草諸島でも 10~20mに及んだ。おもに津波による島原領での死者は約 1万人,対岸の肥後と天草諸島では約 5000人にのぼった。これを称して「島原大変,肥後迷惑」という。島原半島の海岸線は最大 700~800m前進し,海には多数の小島が出現した(→九十九島)。1万5000人という犠牲者数は,日本の火山災害の史上,最大規模である。

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