群発地震(読み)グンパツジシン

デジタル大辞泉 「群発地震」の意味・読み・例文・類語

ぐんぱつ‐じしん〔‐ヂシン〕【群発地震】

一定の時期、またはある区域に集中して発生する、比較的小さな地震。

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精選版 日本国語大辞典 「群発地震」の意味・読み・例文・類語

ぐんぱつ‐じしん‥ヂシン【群発地震】

  1. 〘 名詞 〙 一定の時期、またはある区域に集中して発生する地震。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「群発地震」の意味・わかりやすい解説

群発地震
ぐんぱつじしん

比較的狭い地域に続発する地震活動で、マグニチュードが他の地震より際だって大きい地震を含まない活動。震源はきわめて浅く、特定の場所に繰り返しおこることが多い。中央海嶺(かいれい)や島弧弧状列島)の火山帯に多く発生する。火山噴火に伴う地震も、群発地震である。

 群発地震は、主として波形がよく似たいくつものグループから構成されており、各グループの地震はきわめて狭い範囲内でおきている。これは、地殻内の、強度がとくに弱い所に相当し、ここに応力が集中して破壊が繰り返しおこるものと思われる。2000年(平成12)の三宅島(みやけじま)近海新島(にいじま)・神津島(こうづしま)近海の群発地震は、マグマ北西から南東の方向に延びる垂直板状に侵入した結果おこったもので、マグニチュード6以上の地震が5回発生した。

[島崎邦彦]

『木村政昭著『噴火と地震――揺れ動く日本列島 群発地震と火口底上昇で地殻変動を予測する』(1992・徳間書店)』『島村英紀・森谷武男著『北海道の地震』(1994・北海道大学図書刊行会)』『茂木清夫著『地震のはなし』(2001・朝倉書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「群発地震」の意味・わかりやすい解説

群発地震 (ぐんぱつじしん)
swarm earthquakes

時間・空間的に地震が集中し,しかも本震ともいうべききわだって大きい地震がない場合がある。その場合,地震の数,大きさともに時間とともにしだいに増大し,一つあるいはいくつかのピークを経て減衰することが多いが,このような地震群を群発地震という。群発地震には明らかに火山活動に直接関係したものと,そうでないものとがある。火山活動に直接関係した地震群はほとんどの場合群発地震型で,本震というべきものがなく,マグマや地下の熱水やガスの運動によって起こるものと思われる。一方,火山活動とはまったく関係のない群発地震がある。日本海溝沿いの三陸沖や茨城県沖にはマグニチュード7級の大きい地震を含む大型のものも含めて群発地震がしばしば起こる。また房総半島沖にも海底谷沿いに地震の規模は小さいが活発な群発性の地震が発生する。いずれも構造的には破砕帯とみられる所で起こっている。火山活動と直接の関係は認められないが,火山帯に沿って大小の群発地震が発生することも事実である。1930年の伊東群発地震,65年から始まった松代群発地震,78-79年の伊東群発地震などである。これらの群発地震はしばしば地殻の隆起を伴う。松代地震は65年8月から始まり活発な期間が3年も続いた。初め松代町(現,長野市)皆神山付近を中心とする直径10kmほどの範囲に起こっていたが,活動の後期は長径20kmくらいの北東~南西に長い楕円形の範囲に拡大した。有感地震の数は70年まで6万回を数えた。この場合に注目されることは活動の最盛期に多量の地下水が湧出したことである。したがって松代地震は地下水の移動,流出によるものではないかという考えもある。群発地震が,それによる直接の被害以上に問題とされるのは,それが次に来るかもしれない大地震の前ぶれ(前震)ではないかという危惧のためである。現在のところ,群発地震と前震を断定的に区別する方法は見いだされていない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「群発地震」の意味・わかりやすい解説

群発地震
ぐんぱつじしん
earthquake swarm

狭い地域で地震が一定期間に集中して発生し,その群れのなかにきわだって大きな地震がない状態。本震余震の区別がなく,長いものは数年間に及ぶ。地震の規模は小さく,通常マグニチュードM)5程度以下である。1965年から 3年以上続いた松代地震はこの代表例で,地震全体のエネルギー総量は約 1.7×1021erg,M6.3の地震 1回分に相当した。原因としては,震源域の岩石の破砕度が激しい場所であることや(→岩石の変形),火山地域におけるマグマや熱水などの火山性流体の移動があげられる。また 1978年頃から続発した伊豆東方沖群発地震火山性地震とみられた。

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百科事典マイペディア 「群発地震」の意味・わかりやすい解説

群発地震【ぐんぱつじしん】

地域的,時間的に比較的集中して起こる地震。比較的震源が浅く火山地域に多い。1930年の伊東群発地震,1965年―1969年の松代(まつしろ)群発地震,1989年の伊東沖群発地震などがその好例。地下に蓄積されたひずみエネルギーが小出しにされる地震と解されている。
→関連項目地震松代地震

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知恵蔵 「群発地震」の解説

群発地震

群れをなして起こる地震で、本震と呼べるような、特別に大きい地震を含まないもの。同程度の大きさの地震が2つ続いて起こり、他の地震は格段に小さい時は両方を本震とし、群発地震とはいわないこともある。群発地震は数時間でやむものから、数年間活発な活動が続くもの(例・松代〈まつしろ〉地震)まである。火山の噴火や地下のマグマの活動に伴って起こることもあるが、三陸沖や鹿島灘など火山と関係のない地域にも起こることもある。

(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)

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