比較的狭い地域に続発する地震活動で、マグニチュードが他の地震より際だって大きい地震を含まない活動。震源はきわめて浅く、特定の場所に繰り返しおこることが多い。中央海嶺(かいれい)や島弧(弧状列島)の火山帯に多く発生する。火山噴火に伴う地震も、群発地震である。
群発地震は、主として波形がよく似たいくつものグループから構成されており、各グループの地震はきわめて狭い範囲内でおきている。これは、地殻内の、強度がとくに弱い所に相当し、ここに応力が集中して破壊が繰り返しおこるものと思われる。2000年(平成12)の三宅島(みやけじま)近海、新島(にいじま)・神津島(こうづしま)近海の群発地震は、マグマが北西から南東の方向に延びる垂直の板状に侵入した結果おこったもので、マグニチュード6以上の地震が5回発生した。
[島崎邦彦]
『木村政昭著『噴火と地震――揺れ動く日本列島 群発地震と火口底上昇で地殻変動を予測する』(1992・徳間書店)』▽『島村英紀・森谷武男著『北海道の地震』(1994・北海道大学図書刊行会)』▽『茂木清夫著『地震のはなし』(2001・朝倉書店)』
時間・空間的に地震が集中し,しかも本震ともいうべききわだって大きい地震がない場合がある。その場合,地震の数,大きさともに時間とともにしだいに増大し,一つあるいはいくつかのピークを経て減衰することが多いが,このような地震群を群発地震という。群発地震には明らかに火山活動に直接関係したものと,そうでないものとがある。火山活動に直接関係した地震群はほとんどの場合群発地震型で,本震というべきものがなく,マグマや地下の熱水やガスの運動によって起こるものと思われる。一方,火山活動とはまったく関係のない群発地震がある。日本海溝沿いの三陸沖や茨城県沖にはマグニチュード7級の大きい地震を含む大型のものも含めて群発地震がしばしば起こる。また房総半島沖にも海底谷沿いに地震の規模は小さいが活発な群発性の地震が発生する。いずれも構造的には破砕帯とみられる所で起こっている。火山活動と直接の関係は認められないが,火山帯に沿って大小の群発地震が発生することも事実である。1930年の伊東群発地震,65年から始まった松代群発地震,78-79年の伊東群発地震などである。これらの群発地震はしばしば地殻の隆起を伴う。松代地震は65年8月から始まり活発な期間が3年も続いた。初めは松代町(現,長野市)皆神山付近を中心とする直径10kmほどの範囲に起こっていたが,活動の後期は長径20kmくらいの北東~南西に長い楕円形の範囲に拡大した。有感地震の数は70年まで6万回を数えた。この場合に注目されることは活動の最盛期に多量の地下水が湧出したことである。したがって松代地震は地下水の移動,流出によるものではないかという考えもある。群発地震が,それによる直接の被害以上に問題とされるのは,それが次に来るかもしれない大地震の前ぶれ(前震)ではないかという危惧のためである。現在のところ,群発地震と前震を断定的に区別する方法は見いだされていない。
執筆者:茂木 清夫
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(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)
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