シハモニ(読み)しはもに(英語表記)Norodom Sihamoni

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シハモニ」の意味・わかりやすい解説

シハモニ
しはもに
Norodom Sihamoni
(1953― )

カンボジアの王族政治家。2004年10月29日に国王即位。出生地はプノンペンで、父親シアヌーク前国王。幼少時代には父親が制作した映画に子役で出演したこともある。1962年からチェコスロバキアに留学し、1967年から1971年にかけてプラハ国立芸術学校、1971年から1975年にかけてプラハ高等音楽芸術院で、ダンスや音楽などを学ぶ。1975年から北朝鮮で映画撮影を勉強していたが、1976年にポル・ポト政権に呼び戻され、1979年までプノンペンで両親とともに幽閉生活を送る。

 1979年から1980年、国外亡命中の父親の秘書を務める。1981年からパリの芸術学校でダンスと芸術を教えた。1992年から1993年、カンボジア最高国民評議会国連常駐代表としてアメリカに滞在。1993年から2004年にかけては、パリでユネスコ大使を務める。2004年10月、当時のシアヌーク国王退位宣言、それに続く後継指名を受けて、国王に就任した。海外生活が長く知名度の低さにもかかわらず後継者に選ばれたのは、本国政争に無縁で政敵がいないためとみられている。それだけに、激動のカンボジア現代史を象徴する父親に比べ、存在感に欠けるとの評価もある。フランス語チェコ語に堪能で、英語ロシア語も話す。

[野口賢志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シハモニ」の意味・わかりやすい解説

シハモニ
Norodom Sihamoni

[生]1953.5.14. プノンペン
カンボジア国王(在位 2004~ )。2004年10月父ノロドム・シアヌーク国王の退位をうけ,あとを継いだ。シアヌークとモニク妃の間に生まれた息子 2人の長兄。幼少時より芸術的才能を発揮し,9歳でチェコスロバキアに留学,14歳で父が制作した映画 "Little Prince"に主演した。1970年のクーデターで父が国家元首の地位を追われたのちもチェコスロバキアのプラハにとどまり,国立音楽院とプラハ芸術アカデミーで舞踊,音楽,演劇を学んだ。1975年に父が滞在する朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に渡り,映画制作を学んだ。1975年赤いクメールがカンボジア全土を制圧したのち帰国し,1976年以降両親とともにプノンペンの王宮に軟禁された。ポル・ポト失脚後に王家は中国に脱出し,当地で 2年間父の秘書を務めた。1981年フランスのパリに移住してクラシック・ダンスの教授になり,自身の舞踊団を結成した。1992年カンボジアの国際連合代表,1993~2004年国際連合教育科学文化機関 UNESCO大使を務めた。

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