ヒメジョオン(読み)ひめじょおん

改訂新版 世界大百科事典 「ヒメジョオン」の意味・わかりやすい解説

ヒメジョオン (姫女菀)
daisy-fleabane
Stenactis annuus (L.) Cass.(=Erigeron annuas(L.) Pers.)

道ばたや荒地に多い北アメリカ原産のキク科一年草ないし越年草。明治維新前後に渡来し,今では各地で野生状態となっている。若芽はゆでて浸し物,あえ物として食用にできる。北アメリカでは結石の薬または利尿剤として使われた。茎は直立し,高さ1.5mに達する。根生葉は長柄有し卵形で,あらく鋭い鋸歯縁となる。茎葉は倒披針形で,互生し,質はうすく,両面に毛がある。花期は6~10月。茎上部で分枝し,径2cmくらいの頭花を多数つける。頭花は縁に2~3列の白色淡紫色の舌状小花があり,中央部に黄色の筒状小花がある。舌状小花の冠毛は筒状小花の冠毛に比べて短い。花期が4~7月とヒメジョオンより早いハルジオン春紫菀Erigeron philadelphicus L.も北アメリカ原産の帰化植物である。全体にヒメジョオンに似ているが,茎は中空で,茎葉は茎を抱いており,頭花は開花前にうなだれているなどで区別できる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメジョオン」の意味・わかりやすい解説

ヒメジョオン
ひめじょおん / 姫女苑
[学] Erigeron annuus (L.) Pers.

キク科(APG分類:キク科)の一年草または越年草。茎は直立し、高さ0.5~1.5メートル、長柄がある卵形の根出葉があるが、花期にはなくなる。茎葉は互生し、披針(ひしん)形または長楕円(ちょうだえん)形。茎、茎葉には毛がある。6~10月、茎上部に散房状花序をつくり、多数の頭花をつける。白色の舌状花と黄色の管状花がある。舌状花は2、3裂し、冠毛は短く、管状花の冠毛は長短両様ある。低地から山地に自生状態になっているが、明治初年ころ北アメリカから渡来した帰化植物である。本種によく似たハルジョオンE. philadelphicus L.は、茎は中空、花期は1か月ほど早く、頭花は開花前は下を向く。本種同様、北アメリカ原産の帰化植物である。

小山博滋 2022年3月23日]


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百科事典マイペディア 「ヒメジョオン」の意味・わかりやすい解説

ヒメジョオン

キク科の二年草。北米原産の帰化植物で路傍にはえる。全体に毛があり,茎はやや硬く直立し,高さ30〜100cm。葉は膜質となる。6〜10月,白色の舌状花と黄色の筒状花からなる,径2cm内外の頭花を散房状に開く。全体にハルジオンに似るが,茎の中心部には髄がつまり,葉の基部は茎を抱かず,つぼみはうなだれない。

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