原ノ辻遺跡

山川 日本史小辞典 改訂新版 「原ノ辻遺跡」の解説

原ノ辻遺跡
はるのつじいせき

長崎県壱岐島の南東部(壱岐市芦辺町)にある弥生時代の環濠集落。大正期から知られ,弥生中期後半~後期の竪穴住居跡貝塚遺物包含層甕棺(かめかん)墓・石棺墓などが調査された。1991年(平成3)からの発掘で,丘の裾をめぐる南北850m,東西350mの三重の濠が確認され,前期末~後期の大規模な環濠集落であることが判明。朝鮮半島の無文土器や瓦質土器・漢式土器,戦国式銅剣,中国鏡・仿製鏡,有鈎銅釧(ゆうこうどうくしろ),30本以上の鏃(やじり)などの青銅器類,斧・鎌・刀子(とうす)などの鉄製品,ガラス玉類,石剣・石包丁などの石器,ヤス・銛(もり)・鏃などの骨角器,卜骨,貨泉(かせん),木製盾など多種多様な遺物がある。「魏志倭人伝」中の一支(いき)国の中心地と考えられている。国特別史跡。

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旺文社日本史事典 三訂版 「原ノ辻遺跡」の解説

原ノ辻遺跡
はるのつじいせき

長崎県壱岐郡芦辺町・石田町にある弥生時代の集落遺跡
1951年以降調査が行われ,『魏志倭人伝に見える「一支国 (いきこく) 」の中心集落であることが確認されている。南北約850m,東西約350mの範囲に3重の楕円形の環濠をめぐらし,内部の面積は約25ha。中心部には溝や塀で囲んだ中核施設がある。環濠外の墓地からは中国鏡など副葬品が豊富に出土し,王族墓と見られる。中国の硬貨や朝鮮半島の土器・ガラス製品などが大量に出土している。'96年の調査で弥生中期の船着き場跡と見られる堤防状遺構が見つかった。長さ約12m,幅は最大で約11mある。築造には今までにない高度な土木技術が使われており,大陸から技術を導入したものと考えられている。

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百科事典マイペディア 「原ノ辻遺跡」の意味・わかりやすい解説

原ノ辻遺跡【はるのつじいせき】

長崎県壱岐(いき)市にある弥生(やよい)時代の集落遺跡。古くからたびたび調査が行われているが,1991年,三重にめぐる環濠と住居跡,箱式棺,甕棺(かめかん)が発掘された。銅剣,鏡,鉄器,管玉,ガラス玉,貨泉などが出土。《魏志倭人伝》の一支(いき)国の中心地と見られる。

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