大引(読み)おおびけ

精選版 日本国語大辞典 「大引」の意味・読み・例文・類語

おお‐びけ おほ‥【大引】

〘名〙
妓楼がその日の営業を終えること。また、その時刻。江戸新吉原では丑(うし)の刻(午前二時ごろ)に店を閉めた。おおびき。
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「ちょんちょん格子(がうし)〈略〉の寝込(ねこみ)掛合(かけあっ)て、二字(オホビケ)から押あがりの」
② 取引所での前場(ぜんば)または後場(ごば)の最後の立会。特に断りのない限り後場の引けをさす。また、その時の相場をいう。⇔寄付き
※大坂繁花風土記(1814)浜方手引草「七ツ下り、大引」
歌舞伎・傾情吾嬬鑑(1788)序幕「さて、これからが大引(オホビケ)唐犬(たうけん)十右衛門」

おお‐びき おほ‥【大引】

〘名〙
① 三人でめくりカルタをする時、親、胴二(どうに)についで、最後に札をめくる番にあたる者。
洒落本・傾情知恵鑑(1783)「ひょんなめにあふびきどう二こんな事を聞ひたらば逃げ負にして」
② (①から転じて) 順番が最後になること。最後に責任をとる立場。おおびけ。
※洒落本・無駄酸辛甘(1785)「言ってみなせへ、おお引にやァ、おれがいるから」
※雑俳・柳多留‐五(1770)「大びきはきんぜんとして崩す也」
④ 家の床下に渡して床板をささえる横木。尾引(おびき)。〔日本建築辞彙(1906)〕

おお‐ひき おほ‥【大引】

〘名〙 「おおひきあわせ(大引合)」の略。

おびき【大引】

〘名〙 瀬戸内海で地曳、その他曳網の袖の部分が粗目の網をいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大引」の意味・わかりやすい解説

大引
おおびき
sleeper; joist

尾引ともいう。木造床組みで,最下階において根太を支える水平材。普通9~12cm角材が用いられる。大引に直交して根太を渡す。大引の端を土台または大引受けに載せかけ,中央は,90cm以内の間隔床束を立てて支える。

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百科事典マイペディア 「大引」の意味・わかりやすい解説

大引【おおびき】

尾引とも。床組において,束(つか)の上にあって,根太(ねだ)を保持する水平材をいう。通常9〜12cm角の杉を用い,1m前後の間隔で配列する。

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