建物の区分所有等に関する法律(読み)たてもののくぶんしょゆうとうにかんするほうりつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

建物の区分所有等に関する法律
たてもののくぶんしょゆうとうにかんするほうりつ

昭和 37年法律 69号。建物の区分所有権は,1棟の建物の一部分を所有する権利である。たとえばビルやマンションの1区画分譲などの場合にみられる権利について,民法は建物の区分所有を認める規定をおいていたが,ビルの区分所有関係を規定するには不十分なため本法が制定された。建物の区分所有権は,共用通路などを通って直接外部と連絡し独立して住居,事務所,店舗などの建物として利用でき,構造上も,独立の区分のある建物の,一定の区画について認められ,登記簿上,区画ごとに1個の建物として取り扱われる。区分所有権の成立する建物には区分所有権の目的となる専有部分のほか,区分所有権の目的とならない他の区分所有権者との共用部分 (廊下,階段,エレベータなど) がある。この共用部分は各共有者がその用方に従って利用することができ,各共有者の共有に属し,その持ち分は専有部分の持ち分の床面積割合による。共用部分の共有持分の処分は専有部分の所有権の処分に従属し,それと分離して処分されることは禁じられている。また共用部分の管理のため,区分所有権者は全員で団体を構成し,集会を開き,規約を定め,管理者をおくことができる。団体は一定の要件を満たせば法人となることができる。なお,1983年の改正では共同利益に反する行為の停止請求,区分所有権の競売を求める訴えの提起などを盛り込み,その結果,建て替えや補修住民多数決で行なえるようになった。また,2003年にはマンション建て替え円滑化法制定にあわせた改正が行なわれた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の建物の区分所有等に関する法律の言及

【建物の区分所有】より

…社会的に注目され法制度的に整備されるようになったのは比較的最近で,フランスでは1938年に従来の民法規定を廃止して特別法を制定したが,65年に大改正があり,旧西ドイツでは1951年に特別法を制定するなど,現在ではアメリカ合衆国その他世界の多くの国でも広く行われている。 日本では,1955年前後ころから,都市での人口集中,地価上昇などが顕著となるにつれて建築物の立体化・高層化が進み,区分所有建物が増加するに至ったが,その複雑な法律関係に対処するには,従来の簡単な民法規定(208条)では不十分であるため,62年にそれを削除して新たに〈建物の区分所有等に関する法律〉を制定したが,83年に内容・体裁ともに大幅な改正があった。この法律は区分所有法とかマンション法などともよばれる。…

【マンション】より

…そのために英語で豪壮な大邸宅を意味するマンションmansionを使うようになった。分譲集合住宅(狭義のマンション)は,1962年に制定された〈建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)〉によって位置づけされており,敷地とホール,階段,廊下,エレベーターなど共用部分は,マンションの住戸を購入した人々の共有で,各住戸はそれぞれの専用となっている(〈建物の区分所有〉の項参照)。このような形態の分譲共同住宅は,アメリカなどではコンドミニアムcondominiumという。…

※「建物の区分所有等に関する法律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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