湿式製錬(読み)しっしきせいれん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湿式製錬」の意味・わかりやすい解説

湿式製錬
しっしきせいれん
hydrometallurgy

水溶処理による製錬法。鉱石を酸,アルカリ液で浸出し,溶液卑金属を加えて目的金属を沈殿析出する置換法 (青化製錬法が代表例) と,電解により電析する電解法 (亜鉛の製錬など) がある (→電解製錬 ) 。広義には水を要しない混汞法 (こんこうほう) もこれに属する。鉱石成分が難溶性の場合は焙焼して易溶性の酸化物,硫酸塩,塩化物などとして浸出する。このほか,溶液中の金属イオンをイオン交換樹脂で分別採取する方法も研究されている。また全製錬工程のなかの一部分として予備的処理 (バイヤー法による純アルミナの製造やタングステン製錬過程の純酸化タングステン製造など) または最終処理 (転炉で得られた粗銅の湿式電解による精製など) に湿式製錬が用いられる例も多い。

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百科事典マイペディア 「湿式製錬」の意味・わかりやすい解説

湿式製錬【しっしきせいれん】

湿式冶金とも。鉱石中の金属分を適当な溶剤にとかし,その溶液から金属分を採取する製錬法。多く焙焼(ばいしょう)により溶解しやすい化合物にしてから処理する。乾式製錬で得た粗金属の電解精製電解製錬)は湿式製錬の代表的な技術であり,ほかにシアン化法バクテリアリーチングなどが行われている。
→関連項目製錬

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化学辞典 第2版 「湿式製錬」の解説

湿式製錬
シッシキセイレン
hydrometallurgy

鉱石または精鉱中の目的金属を,適当な溶媒によって浸出して目的金属イオンを含んだ水溶液とし,ついで化学的または電気化学的方法によって金属イオンを還元して金属を採取する方法.このように,はじめから終わりまで水溶液で処理する首尾一貫した湿式製錬のほかに,溶液から目的金属の化合物を晶出沈殿させ,これを高温炉で還元して金属を得る場合もある.このときは化合物の晶出までが湿式の工程である.湿式製錬に対して乾式製錬という用語は,鉱石を主として高温炉に入れて溶融状態にし,製錬,還元する工程を意味する.湿式製錬には多くの工程があるが,そのおもなものは,浸出,固-液分離工程,濾過,浄液,金属採取および化合物採取などである.また,電解精錬も水溶液の電解質を用いているかぎり,湿式製錬の一方法として含まれることもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の湿式製錬の言及

【製錬】より

…銅,亜鉛,モリブデンなどは原鉱品位は低いが,浮遊選鉱で品位向上が図られる。ウランは直接湿式製錬によって酸浸出し,溶媒抽出法またはイオン交換樹脂法によって精製ののち純酸化物U3O8(イェローケーキ)として回収される。製錬原料として独自の鉱石ではなく,他の金属の製錬廃滓が用いられ,副産物として回収されるものも多い。…

※「湿式製錬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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