あいの風(読み)アイノカゼ

デジタル大辞泉 「あいの風」の意味・読み・例文・類語

あい‐の‐かぜ【あいの風】

日本海沿岸で、沖から吹く夏のそよ風。あい。あゆ。あえのかぜ 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「あいの風」の意味・読み・例文・類語

あい‐の‐かぜ【あいの風】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 東風のこと。おもに、越(こし)地方(現在の福井県から新潟県に至る)で言った。あゆのかぜ。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「道の口 武生(たけふ)国府(こふ)に 我はありと 親に申したべ 心安比乃加世(アヒノカゼ)や さきむだちや」(出典催馬楽(7C後‐8C)道の口)
  3. 東西南北の二つの基本方位の間から吹いてくる風。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. 北西風。
    1. [初出の実例]「あゆのかぜ〈略〉今越前にて戊亥の風をあひの風といふとそ」(出典:和訓栞(1777‐1862))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「あいの風」の意味・わかりやすい解説

あいの風
あいのかぜ

夏、主として日本海の沿岸部で吹く、穏やかな海風の局地名。俳諧(はいかい)『道の枝折(しおり)』のなかに「あひの風、うら風也(なり)、朝はふかで昼より吹也、南国にしらぬ風也。」とある。沖から吹き寄せる風であるから、風向きは場所により北東から北西までさまざまである。沖から魚貝や海藻などの珍味を吹き寄せるので、宴に通じる「あえ」を語源とする説もある。

根本順吉

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とっさの日本語便利帳 「あいの風」の解説

あいの風

春から夏にかけて吹く、北東から南東までの風。地域によって風向が異なる。福井から新潟までは東の風。あゆの風ともいう。

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百科事典マイペディア 「あいの風」の意味・わかりやすい解説

あいの風【あいのかぜ】

夏の穏やかな北風をいい,日本海沿岸地方で広く用いられる言葉

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世界大百科事典(旧版)内のあいの風の言及

【風】より

…〈たま風〉同様,悪風として恐怖感を伴う。これらの悪風に対し,夏から初秋に多い〈あい〉〈あいの風〉は,日本海沿岸に広く分布し,海から種々の珍しいものを打ち寄せてくれる好ましい風とされる。また北前船は,日本海北部海域からこの風に乗って上方方面へ航行した。…

※「あいの風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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