アキノキリンソウ(英語表記)common goldenrod
European goldenrod
Solidago virga-urea L.

改訂新版 世界大百科事典 「アキノキリンソウ」の意味・わかりやすい解説

アキノキリンソウ
common goldenrod
European goldenrod
Solidago virga-urea L.

日当りの良い道端や山地草原に普通に見かけるキク科多年草で,ユーラシア大陸に広く分布する。花が一見ベンケイソウ科キリンソウに似ているので,和名は秋に咲くキリンソウの意味でつけられ,別名アワダチソウは花序の姿を盛りあがる酒の泡にみたててつけられた。学名Solidagoは〈完全な状態〉という意味で,傷薬として用いられたところからつけられ,virga-ureaは〈黄金の枝〉という意味である。茎は高さ30~80cmで,細いが強く,直立して,上部で分岐することがある。基部の葉はスプーン形であるが,中部から上部になるにつれ,柄が短くなり,葉身は卵形から披針形となる。8~10月,分枝した枝に多数の花をつける。花は小花の集合した頭花で,花弁のように見えるのは舌状花と呼ばれ,雌花である。中心部には筒状花があり,これは両性花である。ヨーロッパや中国では薬用とされ,抗菌作用や気管支炎の治療効果などが知られている。若芽食用になる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アキノキリンソウ」の意味・わかりやすい解説

アキノキリンソウ
あきのきりんそう / 秋麒麟草
[学] Solidago virgaurea L.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は直立して高さ80センチメートル前後、上部は分枝して花序となる。基部の葉はスプーン形であるが、中部から上部になるにつれ、柄が短くなり、葉身が卵形から披針(ひしん)形となる。8~10月、分枝した枝に多数の頭花をつけて開く。頭花は数個の舌状花と筒状花からなる。和名は、花の美しさをベンケイソウ科のキリンソウに例えたもので、秋に咲くことによる。別名アワダチソウ(泡立草)は花の集まったようすを、酒をつくるときに出る泡に例えたもの。ユーラシアに広く分布するが、東アジアのものは果実にほとんど毛がなく変種または亜種とされる。高山帯には別の亜種コガネギク(黄金菊)、一名ミヤマアキノキリンソウが生育する。同属の帰化植物にセイタカアワダチソウがある。

[小山博滋 2022年1月21日]


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百科事典マイペディア 「アキノキリンソウ」の意味・わかりやすい解説

アキノキリンソウ

キク科の多年草。別名アワダチソウ。北海道〜九州および東アジアの暖〜温帯に分布し,日当りのよい平地,山地にはえる。茎は分枝し高さ35〜85cm。黄色の頭花は散房状〜総状につき,径12〜14mm,舌状花と筒状花からなり,8〜10月に開く。亜種のミヤマアキノキリンソウは中部地方以北,北海道の高山にはえ,丈が低く,頭花は密集してつく。セイタカアキノキリンソウとも呼ばれるセイタカアワダチソウは帰化植物。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アキノキリンソウ」の意味・わかりやすい解説

アキノキリンソウ(秋の麒麟草)
アキノキリンソウ
Solidago virga-aurea

キク科の一年草で,山野に自生する。草丈は 30~60cm,茎は直立し多少黒紫色を帯びる。葉は互生し,縁には鋸歯がある。茎の上部の葉には葉柄がなく披針形,下部の葉は卵形で翼のある長い葉柄がある。秋,茎の上部に多数の黄色い小頭状花が穂状につく。総包片は4列につき外側のものほど小さい。花の色がキリンソウに似て黄色く,また秋に咲くのでこの名前がある。アワダチソウともいわれる。やや小型で高山帯に生じるものをミヤマアキノキリンソウという。

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