アクラ(読み)あくら(英語表記)Accra

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクラ」の意味・わかりやすい解説

アクラ
あくら
Accra

西アフリカ、ガーナの首都。同国の行政、商工業、交通、文化の中心地である。人口155万1200(2001推計)。ギニア湾に面し、海岸段丘とそれに挟まれた低地にまたがり、市内にはオダウ川が砂州でせき止められたコーレ潟湖がある。1482年この地域にポルトガル人が初めて渡来したときは、ガGaとよばれる民族集団が住む漁村であった。その後、イギリス人、オランダ人、デンマーク人などによる貿易基地(城塞(じょうさい))が海岸地帯に建設され、ヨーロッパとの商取引が盛んになり、現在のアクラ中核となる集落が形成された。アクラという地名は、アカン語のンクランnkran(黒アリの意)がなまったものといわれている。しばしば地震にみまわれ、とくに1862年に市のほとんどが壊滅した記録がある。1887年イギリス領ゴールド・コーストの首都となり、行政、商業の中心地として発展した。また、グッギスバーグ総督による十か年計画(1920~1930)によって組織的な都市計画が進められ、道路、水道などの基礎的社会施設や学校、病院など教育、保健施設が整備された。1921年の人口は約3万8000人であったが、1931年に6万1000人、1948年には13万6000人と、社会、経済的発展とともに急増した。1969年にガーナ政府が外国人追放政策をとる前には、現地のガは住民の約40%で、移住民のアカン、エベやナイジェリア人、トーゴ人などの外国人が多かった。

 国内の鉄道および道路網起点で、北東12キロメートルにガーナ国際空港がある。東方29キロメートルにある外港テマとの間には高速道路が通じる。ガーナ大学をはじめ教育施設、各種の文化施設も充実しており、1928年黄熱病(おうねつびょう)研究中にこの地で死んだ野口英世(ひでよ)の記念像がある。

[中村弘光]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アクラ」の意味・わかりやすい解説

アクラ
Accra

ガーナの首都。同国南東部,ギニア湾に臨む。熱帯気候で高温多湿。一帯は古くからガー族の居住地で,17世紀に中心集落のアヤソから沿岸部に住民が移住,三つの村ができたのが都市の起源。一方イギリス,オランダ,デンマークがこの地を貿易拠点とし,1872年までにイギリスが支配権を確立,1877年イギリス領ゴールドコーストの首都がケープコーストからこの地に移った。 1909年から鉄道を建設。 1960年の独立と同時に首都となる。かつてはココアの積み出しで栄えた貿易港であったが,1962年東方 25kmの外港テマ港の完成により,漁業以外の港湾機能はテマ港に移った。政治,文化の中心地で,国立博物館,ガーナ大学をはじめ教育施設も整っている。野口英世の没地で野口英世記念基礎医学研究所や,国際空港がある。周辺のアクラ平野はボルタ川の灌漑により肥沃な農耕地となっている。人口 212万1000(2007推計)。

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