改訂新版 世界大百科事典 「アシダカグモ」の意味・わかりやすい解説
アシダカグモ
huntsman spider
banana spider
Heteropoda venatoria
アシダカグモ科のクモ。体長は雌28~33mm,雄23~28mmで足をのばすと10cmくらいになる。大型で茶褐色をした毛むくじゃらの徘徊性のクモ。世界の暖かい地方に広く分布し,日本では関東以南に生息する。夜行性なので夕方になると家屋の内外に姿を現し,脚を四方に広げのっそりと歩き回り,餌を見つけるとすばやくとらえる。脱皮はふつう13回行うが,10回目の脱皮で生殖能力が完成し,産卵をする。産卵期は5月中旬~6月初旬と,7月初旬~8月初旬の年2回,卵囊は白色で円板状,これを触肢と第3歩脚でしっかりと抱きかかえてもち歩く。しかし子グモの出てくる2,3日前に壁などにはりつける。障子や畳の上をバリバリと音をたててはい回るのでこわがる人もいるが,ゴキブリを好んで捕食するので,有益動物として注目されるようになった。近縁種としてコアシダカグモが日本にいる。
執筆者:萱嶋 泉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報