アジアンタム(読み)あじあんたむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アジアンタム」の意味・わかりやすい解説

アジアンタム
あじあんたむ
[学] Adiantum

イノモトソウ科のクジャクシダ属総称熱帯から温帯にかけて約200種が分布し、日本にも自生種がある。葉の縁が裏側に反り返って包膜状になり、内側に胞子嚢(のう)群をつけるのが特徴で、葉柄は黒ないし紫褐色で光沢がある。クジャクシダA. pedatum L.は日本各地に自生し、葉は鳥足状に8~13羽片があり、クジャクが羽を広げたようにみえる。庭に植えたり、鉢植えによい。ハコネシダは岩手県以南に自生し、小葉はイチョウ葉形で先端のくぼみに胞子嚢を1個つける。漢方では全草を石長生(せきちょうせい)と称し、利尿、通経、去痰(きょたん)剤とする。カラクサホウライシダA. raddianum K. Preslは熱帯アメリカ原産で、フリッツ・ルーシーcv. Fritz-Luethiiなど多くの園芸品種があり、強健で草姿がよく、観葉鉢物として栽培され、結婚式の花束にも使われる。冬は8℃以上に保ち、半日陰で空中湿度が高いほうがよい。アラゲクジャクA. hispidulum Sw.はアジア、アフリカ、オーストラリアの熱帯に分布し、全体に粗毛があり暗灰緑色で、新葉は淡紅色。強健で乾燥にも耐えるが、じみで栽培は少ない。ヒロハクジャクA. macrophyllum Sw.とヒシガタホウライシダA. trapeziforme L.は熱帯アメリカ原産の大形種で観賞温室などで栽培される。小羽片は5~6センチメートルになる。前種は1回羽状複葉、後種は2回羽状複葉となり区別される。繁殖株分けにもよるが、胞子から育てるほうが有効である。水苔(みずごけ)植えまたは、腐葉土ピートモスを混ぜた排水のよい軽い用土で育てる。

[高林成年]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アジアンタム」の意味・わかりやすい解説

アジアンタム

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