農産加工(読み)のうさんかこう

改訂新版 世界大百科事典 「農産加工」の意味・わかりやすい解説

農産加工 (のうさんかこう)

畜産物,水産物および微生物を利用する発酵食品以外の食品(農産物)を加工,製造すること。すなわち,玄米の搗精とうせい)(精米という),小麦粉の製造(製粉という)などの穀類の加工をはじめとして,製めん,製糖デンプンデンプン糖の製造,製油油脂の加工,製茶,豆腐をはじめとする大豆加工食品,果実や野菜の缶詰果汁をはじめとする園芸加工品などが農産加工に含まれる。さらに食糧生産だけでなく,農産物からの飼料生産や,農産廃棄物からの食・飼料の素材の生産まで含めて農産加工という場合もある。なお,小麦粉をさらに加工する製菓,製パンのように加工の程度が高い場合は,通常食品加工という。
執筆者:

農産加工に用いられる機械の総称。対象とする主原材料面からは次のように分類される。(1)一般農産機械(穀物など),(2)園芸農産機械(果実,野菜),(3)特用農産機械(茶,綿,タバコ,繊維作物など),(4)飼養管理機械(飼料調製,給飼,排泄物処理など),(5)畜産加工機械(牛乳,羊毛鶏卵,肉の加工処理),(6)補助農産機械(搬送,包装,計量機,ボイラー,冷凍機など)。

 具体的には加工法と対象に応じて,穀物乾燥機精米機製粉機,製めん機,わらない機,むしろ織機,野菜洗浄機,果実選果機,搾油機,製茶機,肥料粉砕機,飼料混合機,洗卵機,搾乳機,缶詰機など多岐にわたる。これらの機械は単体で一つの加工に用いられることもあるが,機械そのものが種々の機械で構成される複合機械であることが多く,農産加工はこれらの機械を用いて工場形態で行われるのが普通である。すなわち基幹的な加工機を中心に前後処理機を配し,原材料受入れから加工,包装,出荷まで流れ作業となる。傷みやすい農産物を扱う農産加工場では,原材料の流れはもとより,資材の供給,作業員の配置や作業法,工場内作業環境など,製品の品質向上,作業安全,生産性の向上などに十分の計画と配慮が必要となる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android