アテネのアクロポリス

世界遺産詳解 「アテネのアクロポリス」の解説

アテネのアクロポリス【アテネのアクロポリス】

1987年に登録された世界遺産(文化遺産)。古代ギリシア時代の都市国家(ポリスアテナイ(現在のギリシアの首都アテネ)にあるアクロポリスの丘(高さ70mの岩山)に建設された神殿の遺跡である。パルテノン神殿(現在あるのは、修復されたもの)は、ギリシアのポリス連合(デロス同盟)が大国ペルシアを打ち破ったペルシア戦争後の紀元前447年に着工、前438年完成した、アテナイの絶頂期に建設されたもので、奥行き69.50m、幅30.88mの規模。外部を柱で囲んだ周柱式の神殿で、外部はドーリス式、西側後陣の内部ではイオニア式になっている。このパルテノン神殿が建設された後、アクロポリスの神域には次々と神殿が建設された。遺構では紀元前421年に建設が始まったエレクテイオン、紀元前424年に完成したアテナ・ニケ神殿(翼無き神殿)が有名(ただし、いずれも復元されたもの)。いずれもイオニア式で、特に乙女の立像で、6体の石柱カリアティード)のあるエレクテイオンは、イオニア式神殿の至宝とも評されている。ローマ帝国時代、国教キリスト教に定めるとパルテノン神殿は聖母マリアを祀る大聖堂になり、東ローマ(ビザンチン)帝国時代にはギリシア正教教会となった。17世紀のオスマン帝国時代、この神殿は火薬庫として用いられたために、ベネチア軍の砲撃を受けて破壊されてしまった。エルギンマーブル(神殿を飾った彫刻)などの遺物の多くは18世紀にイギリスが持ち帰り、大英博物館の所蔵物になっている。ギリシア政府はイギリスに返還を要求しているが実現していない。◇英名はAcropolis, Athens

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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