カリアティード(読み)かりあてぃーど(英語表記)caryatid

翻訳|caryatid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリアティード」の意味・わかりやすい解説

カリアティード
かりあてぃーど
caryatid

女像柱。建築の梁(はり)を支える円柱のかわりに女人像を用いた柱。ギリシア語ではカリアティデスkaryatidesで、アトランテス(男像柱)の対語。古代の文献によれば、ペルシア戦争の際にペロポネソス半島のカリュアイという町がペルシア方に味方したため、戦後その罰としてカリュアイの女たちを奴隷とし、生涯重荷を担ぐ苦役を科し、そのことを後世に伝えるために公共建造物にその像を用いたと伝えている。しかし実際には、このような女像柱はペルシア戦争の時代よりはるかに以前から用いられており、古い作例にデルフォイのシフノス人の宝庫(前6世紀中ごろ)の2体の女像柱がある。アテネアクロポリスにあるエレクテイオンの6体がもっともよく知られている。

[前田正明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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