西洋魔術において,とくにユダヤ人により伝統的に用いられてきた呪文。病気や厄災を払うのに効き目があるとされ,17世紀ロンドンのペスト流行の際にも使われたと言う。原義は〈雄牛,唯一の雄牛よ〉という呼びかけだったと言われ,〈雄牛〉は春分点が金牛宮にあった時代の〈太陽〉を意味する。古代地中海世界のミノタウロス,セラピス,ミトラス信仰は万物の始原として雄牛をまつったが,この呪文は唯一絶対の太陽神を呼び出すものだと言えよう。
執筆者:大沼 忠弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…したがって,逆にいえば,祈禱文や呪文から呪術性・秘教性を取り去るならば,純粋なゲームに見えてくることになる。たとえば,呪文として名高い〈アブラカダブラabracadabra〉はグノーシス派(グノーシス主義)の儀式にさかのぼり,呪術師が熱病を起こす悪霊の名〈アブラカダブラ〉を頭から順々に1字ずつ消していき,最後にA(アレフAleph=原一者,全能の神のしるし)を残すことによって病を治したといわれるが,部外者には単純な文字遊戯にも見える。西洋のアルファベットは,カバラ的神秘主義によれば,創造主エロヒムの手になるセフィロト(書かれたもの)から精霊が1文字ずつ切り取って石に造形したものとされ,全宇宙はこれらの文字のひそかな組合せによって支えられているとされる。…
…したがって,逆にいえば,祈禱文や呪文から呪術性・秘教性を取り去るならば,純粋なゲームに見えてくることになる。たとえば,呪文として名高い〈アブラカダブラabracadabra〉はグノーシス派(グノーシス主義)の儀式にさかのぼり,呪術師が熱病を起こす悪霊の名〈アブラカダブラ〉を頭から順々に1字ずつ消していき,最後にA(アレフAleph=原一者,全能の神のしるし)を残すことによって病を治したといわれるが,部外者には単純な文字遊戯にも見える。西洋のアルファベットは,カバラ的神秘主義によれば,創造主エロヒムの手になるセフィロト(書かれたもの)から精霊が1文字ずつ切り取って石に造形したものとされ,全宇宙はこれらの文字のひそかな組合せによって支えられているとされる。…
※「アブラカダブラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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