アブルッツィ(その他表記)Abruzzi

改訂新版 世界大百科事典 「アブルッツィ」の意味・わかりやすい解説

アブルッツィ[州]
Abruzzi

アドリア海に面した中部イタリアの州。アブルッツォ州とも呼ばれる。面積1万0798km2,人口130万(2004)。州都ラクイラ。沿岸地域では小麦トウモロコシジャガイモが栽培され,アペニノ山脈山麓にはオリーブ畑と牧草地が広がる。この地方は古代ローマ時代にプロウィンキア・ウァレリアと呼ばれていたが,その後,ランゴバルド族が建てたスポレト公国に併合された。843年,先住民族マルシの名に由来するマルシア自治伯爵領となった。現名のアブルッツィは,10世紀にマルシアに併合された隣接地の名アプルッツォApruzzoに由来する。1861年のイタリア王国成立後,隣接するモリーゼ地方とアブルッツィ・エ・モリーゼ州を形成していたが,1963年再び分離した。州の中央山岳部に広大なアブルッツィ国立公園がある。ワシ,クマ,カモシカなどの野生動物の保護区域であり,風光明媚な避暑地でもある。
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アブルッツィ
Luigi Amedeo,duca d'Abruzzi
生没年:1873-1933

イタリアの海軍軍人登山家,探検家。イタリアの王家サボイア家系の貴族で,海軍軍人となり,登山から探検まで,場所もアルプスからヒマラヤアンデス,極地に至る幅広い活躍をした。おもな活動にはアラスカセント・エライアス初登頂(1897),東アフリカのルウェンゾリ初登頂(1906)があり,世界第2の高峰K2に大規模な試登(1909)を行ったことでも知られる。1899-1900年には北極点を目ざした。登山の極地法はこのとき彼が用いたのが最初とされる。第1次世界大戦ではイタリア海軍司令長官をつとめた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブルッツィ」の意味・わかりやすい解説

アブルッツィ
あぶるっつぃ
Abruzzi

イタリア南部の州。アブルッツォAbruzzoともいう。面積1万0794平方キロメートル、人口124万4226(2001国勢調査速報値)。キエーティ、ラクイラ、ペスカーラ、テラモの4県からなり、州都はラクイラ。隣接するモリーゼ州とともにアブルッツィ・エ・モリーゼ州をなしていたが1963年に分離した。標高500メートル以上の高地が面積の過半を占め、とりわけ西部にはアペニン山脈の最高峰モンテ・コルノをはじめ2000メートルを超える山々がそびえる。この地方の伝統産業は農林牧畜業であるが近年はヒツジの移牧の衰退と山間部の過疎化がみられる反面、メタンガスの発見やローマ―ラクイラ間の高速道路の開通などもあって、工業化と観光化が進んだ。

[堺 憲一]

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367日誕生日大事典 「アブルッツィ」の解説

アブルッツィ

生年月日:1873年1月29日
イタリアの海将,北極探検家
1933年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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