アペール(読み)あぺーる(英語表記)Nicolas Appert

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アペール」の意味・わかりやすい解説

アペール
Appert, Nicolas (-François)

[生]1750頃. シャロンシュルマルヌ
[没]1841.6.3. パリ近郊マッシー
フランスの料理人,菓子職人,酒造家。密封容器による食品保存方法(缶詰原理)を発明した。1795年にフランス総裁政府が長距離輸送に適した食品の保存方法を懸賞金つきで募集したことをうけ,その後 14年間にわたり実験を行なった。コルクで栓をしたガラス瓶を針金で留め,ろうで密封して沸騰加熱するという方法を開発し,加熱時間を変えることによりスープ,果物,野菜,ジュース,乳製品,ジャム,シロップなどさまざまな食品の保存に成功。1810年懸賞に当選し 1万2000フランの賞金を獲得,研究成果をまとめた論文『各種食肉・野菜を数年間保存する方法』L'Art de conserver, pendant plusieurs années, toutes les substances animales et végétalesを発表した。1812年賞金を元に世界初の缶詰工場「アペール商会」を設立,工場は 1933年まで操業した。そのほか固形スープの素や非酸性ゼラチン抽出法を開発し,加圧滅菌器を完成させるなどの功績も残した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アペール」の意味・わかりやすい解説

アペール
あぺーる
Nicolas Appert
(1752―1841)

フランスのコック長、製菓業者。缶詰の発明者として知られる。フランス革命後、政府は陸海軍食物を保存する方法について懸賞募集した。アペールは食物を広口のガラス瓶に入れ、水を加えてコルク栓を緩くしてこれを鍋(なべ)に入れ、2時間ほど煮沸して瓶を取り出し、栓を堅く密封した。1810年、彼はこの方法でナポレオンから1万2000フランの賞金を得、それで食物保存の工場を建て、その方法について著作した。ガラスのかわりに、丸く白い鋼製の缶を用いたのは1822年からである。固形ブイヨン、ゼラチンの製法などの発明もある。

山崎俊雄

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