アマナ(英語表記)Tulipa edulis Baker

改訂新版 世界大百科事典 「アマナ」の意味・わかりやすい解説

アマナ (甘菜)
Tulipa edulis Baker

日当りのよい山すその草地に生え,春先に白い可憐な花をつけるユリ科多年草ムギグワイともいう。栽培のチューリップと同じ属に属する野生種である。鱗茎は地中深くにあり,1本の細い地上茎を伸ばす。葉は線形で1対あり,地表面に平開する。花茎は春先1本のみ伸長し,高さ15~30cmで,1輪の頂花をつける。頂花の下には1対の苞葉がある。花は最初は鐘形で日光を受けると平開する。花被片は白色で,裏面に淡い紫条がある。果実は三稜形で長さ1cm程度。果実をつけた後,地上部は枯れ,夏季には地下部によって休眠する。鱗茎は良質のデンプンを含み,煮るか焼いて食用とする。和名は苦みのないその味に由来する。漢方では山慈姑(さんじこ)と呼び,乾燥した鱗茎を滋養強壮剤に用いる。可憐な花を観賞するために,山草愛好家により栽培されることがある。本州(福島以南),四国,九州,朝鮮半島,中国大陸に分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマナ」の意味・わかりやすい解説

アマナ
あまな / 甘菜
[学] Amana edulis (Miq.) Honda

ユリ科(APG分類:ユリ科)の多年草。鱗茎(りんけい)は卵形、地中深くにあり、鱗片の内側には褐色の軟毛が密生する。2個の線形をした根出葉を出す。4~5月ごろ、高さ15~25センチメートルの花茎を伸ばし、その先端に1個、まれに3個、径2.5センチメートルほどの花をつける。花被片(かひへん)は披針(ひしん)形で紫色を帯びた脈がある。雄しべは花被片の半分の長さである。子房はとっくり形で、成熟すると3稜(りょう)のある蒴果(さくか)となる。福島県以西の本州、四国、九州、奄美(あまみ)大島、さらに朝鮮から中国にかけてやや広く分布する。鱗茎は苦味がなく、なまで食べられるので、アマナまたはムギグワイの名がある。地中海地方から中東にかけての乾燥地を中心に広く分布するチューリップ属Tulipaにごく近縁である。チューリップ属とする説もある。

河野昭一 2018年12月13日]


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日本の企業がわかる事典2014-2015 「アマナ」の解説

アマナ

正式社名「株式会社アマナ」。英文社名「amana inc.」。サービス業。昭和54年(1979)「アーバンパブリシティ株式会社」設立。平成9年(1997)「株式会社アマナ」に改称。同20年(2008)持株会社化にともない「株式会社アマナホールディングス」に改称。同26年(2014)事業子会社を吸収合併し、現在の社名に変更。本社は東京都品川区東品川。広告・パンフレットなどに使用する写真を企画・撮影。写真データベースによる販売も行う。東京マザーズ上場。証券コード2402。

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百科事典マイペディア 「アマナ」の意味・わかりやすい解説

アマナ

日当りのよい平地の草原にはえるユリ科の多年草。本州〜九州,中国に分布。葉は地下の鱗茎から2個出て柔らかく,線形で幅5〜10mm。花茎は高さ15〜30cm。早春,茎頂に1花をつけ,花の下に線形の包片が3個ある。花は径3〜4cm,上向きに咲く。花被片は6個,白色で長さ2〜2.5cm,披針形で,脈は暗紫色をおびる。アマナとは鱗茎に苦味がなく,少し甘いため。近縁のヒロハノアマナは葉が7〜15mmとやや幅が広く,暗緑色で,中央に白色の1条がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマナ」の意味・わかりやすい解説

アマナ(甘菜)
アマナ
Amana edulis

ユリ科の多年草で東アジアの温帯に広く分布し,日本では関東地方より西の日当りのよい草地に自生する。地下に卵球形で長さ 2cmほどの鱗茎がある。早春,2枚の向き合った根生葉を出し,3~4月頃,中央に花茎を出して先端に1~2個の白い花をつける。鱗茎は食用にされ,また漢方では山慈姑 (さんじこ) といって強壮剤にする。

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世界大百科事典(旧版)内のアマナの言及

【ギボウシ】より

…しかし老いた葉の葉身部分は苦みが強くなり,食用に適さない。オオバギボウシは山菜としてよく利用され,関東ではウリッパやウルイ,越後ではアマナの地方名がある。四国ではナンカイギボウシを栽植して食用に利用していた。…

※「アマナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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