アマナ(読み)あまな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマナ」の意味・わかりやすい解説

アマナ
あまな / 甘菜
[学] Amana edulis (Miq.) Honda

ユリ科(APG分類:ユリ科)の多年草鱗茎(りんけい)は卵形地中深くにあり、鱗片の内側には褐色の軟毛が密生する。2個の線形をした根出葉を出す。4~5月ごろ、高さ15~25センチメートルの花茎を伸ばし、その先端に1個、まれに3個、径2.5センチメートルほどの花をつける。花被片(かひへん)は披針(ひしん)形で紫色を帯びた脈がある。雄しべは花被片の半分の長さである。子房はとっくり形で、成熟すると3稜(りょう)のある蒴果(さくか)となる。福島県以西の本州、四国、九州、奄美(あまみ)大島、さらに朝鮮から中国にかけてやや広く分布する。鱗茎は苦味がなく、なまで食べられるので、アマナまたはムギグワイの名がある。地中海地方から中東にかけての乾燥地を中心に広く分布するチューリップ属Tulipaにごく近縁である。チューリップ属とする説もある。

河野昭一 2018年12月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマナ」の意味・わかりやすい解説

アマナ(甘菜)
アマナ
Amana edulis

ユリ科の多年草で東アジア温帯に広く分布し,日本では関東地方より西の日当りのよい草地に自生する。地下に卵球形で長さ 2cmほどの鱗茎がある。早春,2枚の向き合った根生葉を出し,3~4月頃,中央に花茎を出して先端に1~2個の白い花をつける。鱗茎は食用にされ,また漢方では山慈姑 (さんじこ) といって強壮剤にする。

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