改訂新版 世界大百科事典 「アミジグサ」の意味・わかりやすい解説
アミジグサ (網地草)
Dictyota dichotoma(Hudson)Lamour.
褐藻アミジグサ科の代表的な海藻で,体に細かい網目模様のあることから,この名がある。体は黄褐色,帯状で,ほぼ規則正しく叉(さ)状に分枝し,高さ7~15cm,幅0.5~1.0cmになる。体の先端には大型の頂端細胞があり,盛んに分裂して生長する。生殖は晩春から夏の時期で,体表に肉眼で認められる生卵器,造精器,あるいは四分胞子囊を斑紋状につくる。放卵は新月と満月のほぼ1~2日前に起こり,受精卵は発芽すると複相(2n)の胞子体となる。胞子体は配偶体と外見上同形であるが,減数分裂により単相(n)の四分胞子をつくることで区別できる。四分胞子は発芽すると配偶体となる。すなわち生活史は同形世代交代であり,この様式はアミジグサ型生活史と呼ばれる。世界各地の沿岸に広く分布し,とくに利用価値はない。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報