改訂新版 世界大百科事典 「アルドロバンディ」の意味・わかりやすい解説
アルドロバンディ
Ulisse Aldrovandi
生没年:1522-1605
イタリアの博物学者。ボローニャに貴族の子として生まれ,恵まれた条件のもとで数学,法学,哲学,医学,古典語を学んだ後,ローマでフランスの博物学者ロンドレGuillaume Rondelet(1507-56)と出会い博物学を志した。教皇グレゴリウス13世の保護を受け,ボローニャに植物園を設立,初代園長をつとめたほか,1599年から大動物学書を出版。自身では5巻を刊行したのみだが,死後他の動物学者たちによって補われ全13巻を数えた。ここには,アリストテレスを基礎としているとはいえ動物の自然的分類が取り入れられ,動物名をアルファベット順に配列したC.vonゲスナーの《動物誌》からの前進が見られる。さらに,骨格,筋肉組織,内臓などの精確な解剖図が多く載せられているが,同時に,当時盛んにおこなわれた発見旅行から商人や冒険者が持ち帰った遠い国の動物に関するあいまいな情報,ならびに,大プリニウスの著作から無批判に取り入れられた動物説話も並べられ,近代の科学的動物学書への過渡期を代表するものといえる。
執筆者:月沢 美代子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報