イタリア北部,ベネト州の都市。人口21万0821(2004)。ベネト州で最も重要な農業・商業・工業都市で,農業機械,蒸留酒,製糖,化学繊維の生産が行われている。古代ローマ時代,すでに産業が発達し,自治を享受していたパドバ(古称パタウィウムPatavium)は,ローマに次ぐ第2の富裕な都市に発展した。蛮族の侵攻を境にローマ帝国と同じ運命をたどり,経済活動は衰えた。ランゴバルド時代に封建領主と司教に市政権が移動した。12世紀後半に形成されたコムーネは13世紀に開花し,産業,商業活動はローマ時代の活力を取り戻した。町の繁栄のなかに台頭したカラーラ家は市政内部の政権争いに乗じ,1318年パドバのシニョーレ(シニョリーア制)の地位を獲得した。カラーラ家の支配下,パドバは政治的,軍事的に強大な力を誇り領地を拡大し,文化活動も頂点に達してパドバ大学(1222創立)からは多数の学者が輩出した。1389年ビスコンティ家との戦いに敗れたカラーラ家の支配力は衰退し,1405年ベネチアに併合された(1797まで)。その後オーストリア領時代の1848年2月,独立を求める蜂起が起こった。
執筆者:町田 亘
パドバでは14~15世紀にすぐれた画家が活躍した。まず1305年ころ,ジョットが古代の円形闘技場跡に作られたスクロベーニ礼拝堂にフレスコの壁画連作を描く。ドナテロは1443年から約10年間滞在して,ピアッツァ・デル・サントの《ガッタメラータ騎馬像》,イル・サント(サンタントニオ)教会の高祭壇などを制作する。このようなトスカナの美術の新風に触れて育ったマンテーニャは古代美術を崇拝し,遠近法や彫塑的表現にすぐれ,若い時期にエレミターニ教会の礼拝堂に〈聖母被昇天〉などの壁画(第2次大戦中空爆にあう)を制作して,パドバ派を代表するにいたる。また,イル・サント教会のサン・ジョルジョ祈禱所(14世紀)にアルティキエリの,同じくスルオラ・サンタントニオ(15世紀)にティツィアーノの壁画がある。
執筆者:五十嵐 ミドリ 市立美術館には,絵画館,考古学博物館,リソルジメント博物館,図書館,文書館などが併置されている。絵画館は,おもに14世紀から18世紀にかけてのベネチア派の作品を展示している。代表的な所蔵作品の作家としては,ジョット,ロレンツォおよびパオロ・ベネツィアーノ,ミケーレ・ジャンボーノ,グアリエント,ジョバンニ・ベルリーニ,ジョルジョーネ,ティツィアーノ,ベロネーゼなどの名があげられる。
執筆者:生田 圓
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イタリア北東部、ベネト州パドバ県の県都。人口20万3350(2001国勢調査速報値)。英語名パドゥアPadua。バッキリオーネ川沿いに位置し、高速道路や鉄道の幹線が通る交通の要地である。工業も発達し、とくに機械、金属、化学、食品、繊維などの工業が盛んである。1222年に創設されたパドバ大学は、イタリアではボローニャ大学に次いで歴史が古く、1592年から1610年にかけてガリレイが数学教授を務めた。聖アントニウスの墓があるサンタントニオ教会(13世紀)は重要な巡礼地となっている。ほかに、聖母マリアとイエスの生涯を描いたジョットの壁画で知られるスクロベーニ礼拝堂(14世紀)、ドナテッロによるブロンズ像の傑作『ガッタメラータ将軍騎馬像』(1453)など、市内には中世からルネサンス期にかけての美術や建築が多数存在する。
[堺 憲一]
紀元前4世紀に建設され、ローマと関係を保ちつつ発展した。帝政期に農・工業の中心地となり、ことに羊毛と織物の産地として有名であった。またローマの歴史家リウィウス誕生の地でもある。ゴート人やフン人による破壊ののち、カロリング朝期には多くの特権を得て再興され、12世紀に自由都市となるが、1318年カッラーラ家の支配下に入った。しかしその間も毛織物と絹織物が盛んで、この時期はパドバの最盛期にあたり、現在の中心街はこのころに建造されている。1405年ベネチアの勢力圏に編入されるが、繁栄は続いた。短いフランス統治時代を挟み、1797年よりオーストリア領となったのち、1866年イタリア王国に統一された。
[在里寛司]
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…47年秋レベラーズは,人民主権の共和国の構想をもつ憲法草案〈人民協定〉を提出し,独立派軍幹部に批判を加え革命の徹底を訴えた。クロムウェルは〈パトニ討論〉を開いて,説得を通して陣営の解体を防ぎ,おりから反革命勢力の策動によって再発した第2次内乱を戦いぬいた。48年暮れには議会から長老派議員が追放され(首謀者の名をとって〈プライド大佐のパージ〉と呼ばれる),議会は独立派だけで構成される残部議会Rump Parliamentとなった。…
※「パドバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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