アレキパ(読み)あれきぱ(英語表記)Arequipa

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレキパ」の意味・わかりやすい解説

アレキパ
あれきぱ
Arequipa

南アメリカ、ペルー南部、アレキパ州の州都。首都リマの南1030キロメートル。インカの都市のあった地に1540年、スペインの征服者ピサロが建設した。人口71万0103(1998)、89万3491(2018推計)。ミスティ火山(5822メートル)山麓(さんろく)の2380メートルの高地盆地に位置し、チャチャニ山(6075メートル)とピチュピチュ山(5486メートル)に挟まれた、風光明媚(めいび)、気候温順の地として知られている。年降水量はわずか150ミリメートルにすぎない。17世紀初期に建てられた教会、旧領主の邸宅修道院、インカの遺物や植民地時代のさまざまな文物を保存する博物館、植民地スタイルを多くとどめる市街など、きわめて魅力に富んだ観光都市である。電力が豊富で、毛織物、皮革製粉、化学、醸造セメント製鋼など工業都市としても発展してきた。淡い褐色を帯びた白色の火山噴出物を建材に用いた建造物が多いことから、「白い都市」(シウダード・ブランカ)の別名がある。

[山本正三]

 2000年、「アレキパ市歴史地区」としてユネスコ国連教育科学文化機関)の世界遺産文化遺産世界文化遺産)に登録された。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレキパ」の意味・わかりやすい解説

アレキパ
Arequipa

ペルー南部,アレキパ県の県都。太平洋岸から約 100km内陸,アンデス山脈南西斜面のチリ川河谷にあり,標高約 2300m。北東にそびえるミスティ火山 (5822m) をはじめいくつかの万年雪を戴いた高峰に囲まれ,気候に恵まれる。年平均気温約 14℃,年降水量約 100mm。インカ帝国時代にはアンデス山中の首都クスコから太平洋岸に通じる主要路に沿う交通の要衝であった。 1540年スペイン人がこの地域の拠点として再建。穀物の栽培と放牧の盛んな肥沃な農業地帯にあって,首都リマに次ぐペルー第2の都市として繁栄。ペルー南部の商工業中心地で,国内最大の羊毛加工中心地となっているほか,各種工業が立地。市街はしばしば火山活動に伴う地震により大きな被害を受けてきたが,ペルー有数の美しい町で,地元に産する白色の火山岩でできた建物が多い。 1612年建造の大聖堂をはじめ,植民地時代の聖堂もいくつか修復,保存されており,2000年世界遺産の文化遺産に登録。市内には国立サン・アグスティン大学 (1828) ,サンタ・マリア大学 (1961) がある。近くには水浴場,温泉やインカ遺跡があり,観光中心地としてもにぎわう。交通の要地で,太平洋岸の港モイェンドからクスコやチチカカ湖方面へ通じる鉄道が通るほか,太平洋岸を南下するパンアメリカン・ハイウェーが市の近くでそれぞれチリ,ボリビアへ通じる2本の道路に分岐する。人口 62万 1700 (1990推計) 。

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