企業や自治体などが自らの商品、特産品、技術などを広く一般にPRし、消費者の反応や流行を探るために設ける店。販売目的と同時に、消費者情報の受・発信の役割を果たしていることからアンテナショップとよばれる。(1)新製品の試験販売や発表・宣伝、(2)特産品のPR、(3)観光・イベント情報の発信、(4)消費トレンドや需要の把握、などの目的で開設される。政府系機関、外国政府、大学、農漁協、テレビ局などが設置する場合もある。東京に多く、銀座、新宿などのほか、流行に敏感な人が集まるとされる渋谷、原宿などに出店されることが多い。直営店方式、共同出店方式、コンビニエンス・ストアなど商業施設の一角に出店する方式などがある。パイロットショップ、センサーショップなども類似のマーケット用語である。
民間企業のアンテナショップは自社製品・技術を広くPRするほか、新製品・技術の試験販売機能を担っている。アンテナショップ限定の商品やキャラクター商品を販売したり、商品の修理や関連消耗品の販売をしたりするケースもある。自治体のアンテナショップは、かつては東京駅八重洲(やえす)口の国際観光会館に集まっていたが、1990年代からPR効果の高い銀座や新宿に出店するケースが増えた。宮崎県知事の東国原英夫(ひがしこくばるひでお)(当時)の宣伝効果で2007年(平成19)に「新宿みやざき館KONNE(コンネ)」の売上高が急増したことから注目を集め、全国の自治体のアンテナショップの出店が加速。一般財団法人地域活性化センター調べでは、2016年時点で38都道府県・16市町村が東京都内に65店を出している。北海道の「北海道どさんこプラザ有楽町店」のように年商10億円を超えるアンテナショップもあり、複数店を出す自治体も増えている。
[矢野 武 2017年6月20日]
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