アンヒューマ(その他表記)amphiuma

デジタル大辞泉 「アンヒューマ」の意味・読み・例文・類語

アンヒューマ(amphiuma)

有尾目アンヒューマ科の両生類総称全長30センチ~1メートル。ウナギ形で、きわめて小さい四肢がある。3種が米国南東部の池沼や川に生息

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精選版 日本国語大辞典 「アンヒューマ」の意味・読み・例文・類語

アンヒューマ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] amphiuma ) 両生綱有尾目アンヒューマ科の動物。全長約五〇センチメートル。北アメリカ東南部に分布する。指の数によって三種類が区別される。四肢の退化したウナギ状の動物。

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改訂新版 世界大百科事典 「アンヒューマ」の意味・わかりやすい解説

アンヒューマ
amphiuma

アンヒューマ科Amphiumidaeの原始的な両生類で,コンゴウナギCongo eelの別名で呼ばれる有尾類の総称およびその1種を指す。1属3種だけで1科を構成し,アメリカ合衆国南東部の限られた地域に分布する。種によって後肢の指の数が異なり,アンヒューマAmphiuma meansは2本,ミツユビアンヒューマA.tridactylumが3本,ヒトツユビアンヒューマA.pholeterが1本である。体長50~110cmほど。ウナギ形で胴は円筒形で長く,尾は短い。四肢と各指は退化して極端に小さく,ほとんど役だたない。変態後の成体には多分に幼生の形質が残っており,外鰓(がいさい)が消失して肺を生じても1対の鰓孔えらあな)があり,小さな目にはまぶたがない。一生を池沼の水底の穴で過ごし,大雨の後や産卵期にのみ陸に姿を見せる。交尾は水中で行い,夏の終りころ150個ほどの紐状卵塊を水辺の倒木や岩の下など湿った土に産むが,雌は卵塊に体を巻きつけて乾燥を防ぐ。幼生は約5ヵ月で孵化(ふか)し,体長約7cmほどに発育すると外鰓を失う。歯が鋭く貪食(どんしよく)で,餌は水生昆虫,小さな両生類,魚,ザリガニなどのほか,ときには共食いも行う。動物界最大赤血球持主で直径70μにも達する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンヒューマ」の意味・わかりやすい解説

アンヒューマ
あんひゅーま
amphiuma
Congo eel
[学] Amphiuma means

両生綱有尾目アンヒューマ科の動物。水中性で、アメリカ合衆国南東部の池、溝、河川に生息する。全長30~75センチメートル。体は細長く四肢がきわめて小さいため、外形はウナギに似る。指は各肢に2本。変態時にえらは消失するが、鰓孔(さいこう)があることや、まぶたのない点で幼生の特徴を残している。背面は暗褐色ないし黒色。腹面は暗灰色。水底の泥の中や石の間に隠れ、近寄ってきた魚やザリガニなどを捕食する。性質は荒く、人をかむこともある。水辺の倒木や石の下の浅いくぼみに数珠(じゅず)状の卵嚢(らんのう)を産み、雌が保護する。アンヒューマ科は1属3種よりなり、すべてアメリカ合衆国に産する。

[倉本 満]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンヒューマ」の意味・わかりやすい解説

アンヒューマ
Amphiuma means; congo eel

サンショウウオ目アンヒューマ科。別名コンゴーイール。体長 60~75cm。体形からウナギやヘビによくまちがえられるが,縮小した四肢をもつ。一生水中で生活し,水生昆虫類,甲殻類,魚類などを捕食する。しかし産卵期には上陸して,ひも状につながった 50~150個の卵を石の下などの湿った土の上に産みつける。北アメリカ南東部に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のアンヒューマの言及

【ネオテニー】より

…つまり原産地のものは幼生形すなわちネオテニー形であり,これに甲状腺ホルモンを補給すると変態が起こる。サンショウウオおよびイモリの仲間(有尾両生類)には終生えらをもつなど幼生的な形態を示す種がいろいろある(いずれも北アメリカ産でテキサスホライモリTyphlomolge rathbuni,マッドパピーNecturus,えらを体内にもつアンヒューマAmphiuma means)。これらはネオテニー形が固定したものと解釈することもできる。…

※「アンヒューマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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