アーランガー(読み)あーらんがー(その他表記)Joseph Erlanger

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーランガー」の意味・わかりやすい解説

アーランガー
あーらんがー
Joseph Erlanger
(1874―1965)

アメリカの神経生理学者。カリフォルニア大学ジョンズ・ホプキンズ大学に学び、ウィスコンシン大学医学部に勤務し、1910年からはセントルイスワシントン大学医学部教授を務めた。神経信号という極微かつ瞬速な電気的変化の測定に、古典的な電磁式計器にかえて陰極線オシログラフオシロスコープ)に増幅器という軽便な方法を導入(1922)、いわゆるエレクトロニクス電気生理学時代の端緒をつくった。彼自身この方法で共同研究者のガッサーとともに、混合型神経幹での構成線維個別の衝撃波形を分離するなど、重要な成果を収め、1944年ノーベル医学生理学賞を連名で受賞した。主著『神経活動の電気的外徴』(1937)もガッサーとの共著である。

[柳田為正]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーランガー」の意味・わかりやすい解説

アーランガー
Erlanger, Joseph

[生]1874.1.5. サンフランシスコ
[没]1965.12.5. セントルイス
アメリカの生理学者。エルランジャーとも呼ばれる。 1906年,ウィスコンシン大学の初代生理学教授となり,そこで後年の共同研究者 S.ガッサーと出会った。 1910年,セントルイスのワシントン大学に移り,最初,循環生理学分野の研究をしたが,エレクトロニクスを生理学に応用しはじめてから神経生理学の研究に手をつけた。そして単一の神経線維の活動電位をとらえ,オシログラフに記録する装置をガッサーとともに開発した。この装置と,これによって得た活動電位の波形の解釈と分析は,その後の電気生理学を飛躍的に発展させた。神経線維の機能上の高度な分化の発見に対して 1944年,ガッサーとともにノーベル生理学・医学賞を授与された。その後の研究の成果は 1947年,『神経の電気的活動』で発表された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「アーランガー」の意味・わかりやすい解説

アーランガー

米国の生理学者。カリフォルニア大学などで学び,1910年よりワシントン大学生理学教授となる。ギャッサーとともに,陰極線オシログラフを用いて末梢神経の活動電位を測定し,神経生理学の発展に寄与した。1944年ノーベル生理医学賞を受けた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android