イオン注入(読み)イオンちゅうにゅう(英語表記)ion implantation

翻訳|ion implantation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イオン注入」の意味・わかりやすい解説

イオン注入
イオンちゅうにゅう
ion implantation

ガス状の原子をイオン化し,これに電界を印加して加速し,そのイオンを他の物体に強制的に (非熱平衡状態のもとに) 注入すること。イオン打ち込みともいう。表面などの物性を変化させるのが目的で,この技術を使って半導体に不純物イオンを注入してp-n接合をつくったり,また構成原子以外の原子イオンを高濃度に注入することによって母体と異なる物質を合成することも可能である。元来,高速のイオンビーム結晶にたたきつけて打ち込むという方法によるため,それによる結晶格子不整が生じ,たとえばp-n接合の特性向上が難しくなるなど欠点も存在するが,注入後の熱処理によって格子不整濃度の減少をはかることができ,デバイスの特性が改善される。最近では,金属,セラミックス,高分子材料などの表面改質のために,表面層の組成や構造の制御を目的として,いろいろな元素イオン注入が試みられている。

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