光子(おもに真空紫外線)により,原子,分子,遊離基などをイオン化すること.光イオン化は電子衝撃と比較してしきい値則が一次低い.図にヨウ化メチルの光イオン化により生成するCH3I+のイオン化効率曲線を示すが,一価イオン化は階段関数,自動イオン化は狭いエネルギー幅の共鳴線である.このことから,単色光計を使用した単一波長の光による光イオン化をイオン源とした質量分析計で,イオン化電圧,出現電圧を測定すると,電子衝撃よりも各過程を,よいエネルギー分解能,高い精度で測定できる.また電子衝撃では避けにくい,電子流による空間電荷の影響もない.ただし,高エネルギー極短波長光とその効率よい単色光計が得にくく,高いエネルギー変化を測定できないことと,光による禁制遷移が起こらないことでは電子衝撃に及ばない.また,しきい値則から一価のイオン化のしきい値付近でもイオン化断面積が低下しないこと,またそのために断片イオンを生成しないか,ごくわずかの断片イオンを生成する条件で有機化合物などをイオン化することができるので,分析やイオン-分子反応の研究に希ガスなどの強い共鳴線を光源に使用する光イオン化は有利である.希ガスが光により励起され,その励起エネルギーより低いイオン化電圧をもつ分子との反応で,分子をイオン化するペニングイオン化を光増感イオン化(sensitized photoionization)という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…光照射により放出される自由電子のことを光電子photoelectronという。光電効果には,固体表面から光電子が放出される外部光電効果や,原子などから光電子が放出され,イオン化する光イオン化などがある。また光照射により絶縁体や半導体中の伝導電子が増加し電気伝導度が増加する内部光電効果(光伝導ともいう),ならびに光照射により起電力を生ずる光起電力効果も光電効果の一種である。…
※「光イオン化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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